ECサイトの売上を伸ばすためには、アクセス数やコンバージョン率(CVR)だけでなく、カート投入率の改善も重要です。しかし、「カート投入率とは何か」「どの程度を目標にすべきか分からない」という方もいるのではないでしょうか。
カート投入率が向上すると購入者数の増加だけでなく、関連商品の提案やまとめ買いを促す施策が機能しやすくなり、客単価の向上も期待できます。また、商品情報や購入条件を分かりやすく伝えることは、ユーザーの不安を軽減し、顧客満足度の向上にもつながります。さらに、カート投入率の改善はチェックアウト最適化など、後続プロセスの成果を高めるうえでも重要です。
本記事では、カート投入率の基本的な考え方や平均値、低下する原因を整理したうえで、カート投入率向上に役立つ13の施策を事例付きで紹介します。

カート投入率とは
カート投入率とは、商品ページを閲覧したユーザーのうち、実際に商品をカートへ追加した割合を示す指標です。「カート追加率」と呼ばれることもあり、どちらも同じ意味で使われます。
カート投入率は以下の計算式で求められます。
カート投入率(%)= (カート追加数 ÷ 商品ページ閲覧数) × 100
ECサイトにおける重要なKPIの一つであり、商品ページの成果を測定する際に活用されます。
アクセス数が多くても、商品がカートに追加されなければ売上にはつながりません。ECサイトでは、「どれだけのユーザーが購入を検討する段階まで進んだか」を把握することが重要です。カート投入率を確認することで、商品ページがユーザーの購買意欲を高められているかを分析できます。
カート投入率を分析することで、商品ページや購入導線の課題を把握しやすくなります。そのため、多くのEC事業者が継続的にモニタリングしており、CRO(コンバージョン率最適化)の施策立案や効果測定にも活用されています。
カート投入率の平均は?
ECサイトのカート投入率は、業界や商品単価、ターゲット層などによって大きく異なります。Smart Insights(スマートインサイツ)が実施した調査(英語)では、カート投入率の平均は「6.8%」と報告されています。
ただし、日本国内ではカート投入率の平均値に関する大規模な調査データは限られているため、海外のベンチマークはあくまで参考値として捉えることが重要です。平均値のみで判断するのではなく、自社の過去データや同業界の水準と比較しながら分析することで、より適切な評価につながります。

カート投入率が低下する主な原因
商品情報が不足している
商品情報が十分でないと、ユーザーは商品の特徴や自分に適しているかを判断しづらくなり、カート追加をためらう可能性があります。例えば、商品画像の枚数が少ない、説明文が簡素で分かりにくい、サイズや仕様が不明瞭といった場合、購入後のイメージを持ちにくくなります。
ECサイトでは、実店舗のように商品を手に取ったり試したりできないため、ユーザーは商品ページに掲載された情報だけを頼りに購入を判断します。素材感やサイズ感、使用感などが十分に伝わらない場合、「自分の期待と違ったらどうしよう」という不安が生まれやすくなります。また、ターゲットオーディエンスが重視する情報を適切に伝えられていない場合、競合サイトへの流出につながる可能性があります。
購入条件が分かりにくい
ユーザーが商品に興味を持っていても、購入に関する条件が分かりにくいとカート追加につながりにくくなります。例えば、送料や手数料、配送日数、返品や交換の条件、利用可能な決済方法などの情報が十分に伝わっていない状況が挙げられます。
ECサイトでは、実店舗のようにその場で店員へ気軽に質問することができません。掲載された情報だけを手がかりに購入を判断するため、不明点が残っていると、「後で調べよう」と判断を先延ばしにしやすくなります。
また、送料や手数料によって支払総額が大きく変わることもあります。こうした情報が十分に伝わっていない場合、「あとから想定外の費用が発生するのではないか」という不安が生じ、カート追加を見送る要因になり得ます。
商品ページの操作性が低い
商品ページの操作性が不十分な場合、ユーザーは購入手続きに進みにくくなり、離脱につながる可能性があります。例えば、カートボタンが見つけにくい、サイトスピードが遅い、スマートフォンで操作しづらいといったケースです。
商品をカートへ追加するまでの導線が複雑になるほど、離脱リスクが高まります。商品に興味を持った瞬間に行動できなければ、時間とともに購買意欲が薄れてしまうためです。
特にスマートフォンユーザーは移動中や隙間時間にサイトを閲覧することが多く、わずかな読み込み遅延や操作ストレスであっても離脱のきっかけになります。
購入を後押しする情報が不足している
ユーザーは商品を比較する際、商品そのものの情報だけでなく、購入判断に役立つ補足情報も参考にしています。しかし、カスタマーボイスやレビュー、販売実績、在庫状況などの情報が不足していると、「今購入すべき理由」が伝わりにくくなります。
多くのユーザーは、買わない理由を探すだけでなく、「買っても大丈夫だと思える根拠」や「今購入した方が良い理由」も探しながら意思決定を行っています。その際、他の購入者によるレビューや評価、購入実績などは重要な判断材料となります。
こうした情報が不足していると、商品に興味を持っていても購入を急ぐ動機が見つからず、「あとで検討しよう」と判断される可能性があります。結果としてカート投入に至らないまま離脱してしまうケースも少なくありません。
カート投入率を向上させる13の施策
- 高品質な商品画像を掲載する
- 商品動画を活用する
- 商品説明文を改善する
- 商品比較やサイズガイドを充実させる
- レビューや口コミを掲載する
- FAQページを設置する
- 送料や返品ポリシーを明確にする
- 信頼性を示す情報を掲載する
- CTAボタンを目立たせる
- モバイル表示を最適化する
- ページ表示速度を改善する
- 在庫状況や希少性を伝える
- A/Bテストを継続する
1. 高品質な商品画像を掲載する
ECサイトでは、商品画像の質と量が購入の意思決定に影響するため、画像を充実させることはカート投入率の向上に役立ちます。オンラインでは実物を確認できないため、ユーザーは商品画像を通じて商品の状態や品質を判断します。画像が少ない、画質が低い、商品の特徴が分かりにくいといった場合は、購入をためらう原因になりかねません。
例えば、商品の正面写真だけでなく、側面や背面、細部のアップ画像、利用シーンが分かる日常写真などを掲載することで、ユーザーは購入後の利用イメージを持ちやすくなります。
ニトリネットでは「NITORI AR」を提供しており、商品を360°閲覧したり、3Dモデルを実物大で部屋に配置したりできます。写真だけでは伝わりにくいサイズ感や設置後のイメージを確認できるため、購入前の不安軽減につながります。
2. 商品動画を活用する
商品動画は静止画だけでは伝わりにくい内容を補完できるため、カート投入率の向上が期待できます。ECサイトでは、「どのような質感なのか」「どのように使用するのか」「自分に合う商品なのか」といった点が分かりにくく、購入が見送られるケースも少なくありません。動画によって使用シーンやサイズ感、操作方法などを視覚的に伝えることで、商品の特徴や利用イメージを把握しやすくなります。
特に化粧品やスキンケア用品では、テクスチャーや塗布方法、使用前後の印象などが購入判断に大きく影響します。静止画だけでは伝わりにくい情報を動画で補完することで、商品理解を深めながら購入へのハードルを下げることができます。
オルビスの公式オンラインショップでは、「動画ライブラリー」を設け、商品の正しい使い方や使用時のポイント、テクスチャーの違いなどを動画で紹介しています。
3. 商品説明文を改善する
商品説明文を充実させることは、ユーザーの疑問を解消し、カート投入率を高めるうえで重要です。
ECサイトでは掲載情報が購入の決め手になるため、サイズ感や素材、機能性などの情報が不足していると、比較検討の段階で離脱される可能性があります。商品特徴だけでなく、使用シーンや注意点まで詳しく伝えることで、購入判断を後押しできます。
バッグであれば収納できる荷物の量やポケット構成、アパレルであれば素材の特徴やお手入れ方法まで掲載することで、実際の利用イメージを具体化できます。また、サイズや重量などの基本情報を整理することで、購入後のミスマッチ防止にもつながります。
土屋鞄製造所の製品ページでは、商品の特徴だけでなく、素材の特性、収納仕様、サイズ、重さ、原産国、メンテナンス方法、注意事項まで詳細に記載しています。例えば「ウルバーノ アーバンブリーフ」では、A4収納可否やポケット構成に加え、革のエイジング(経年変化)についても説明しており、購入前に必要な情報を確認しやすい設計となっています。
4. 商品比較やサイズガイドを充実させる
商品選びに必要な情報を分かりやすく提示することで、自分に合った商品を判断しやすくなり、カート投入率の向上が期待できます。特にアパレルやシューズなどはサイズ選びへの不安が大きく、比較検討に時間がかかることから、購入を見送られるケースも少なくありません。適切な判断材料を提供することで、離脱を防ぎやすくなります。
サイズ選びに不安を感じやすいアパレルでは、身長や体型別の着用イメージを掲載したり、商品の違いを一覧表で比較できるようにしたりすることで、ユーザーは自分に適した商品を選びやすくなります。また、採寸方法の案内や、採寸結果に基づいたおすすめサイズの提示、身長と体重の入力によるサイズ提案なども有効です。
AOKI(アオキ)の公式通販では、「お気に入りの服からサイズを知る」「自分で計測する」「店舗で採寸する」といった複数の導線を用意しています。さらに着用イラスト付きでおすすめサイズを表示し、サイズ変更によるフィット感の違いも確認できるため、購入前の不安軽減に役立っています。
5. レビューや口コミを掲載する
レビューや口コミは、商品説明だけでは伝わりにくい使用感や満足度を補完できるため、カート投入率の向上に役立ちます。企業が発信する情報だけでは判断しにくい場合でも、実際の購入者の声があることで商品の信頼性が高まり、購入を後押しできます。
例えば「思っていたより軽かった」「サイズ感がちょうど良かった」といった購入者の感想は、実際の使用感や使い勝手を具体的にイメージしやすくする役割を果たします。さらに、多くのレビューが集まることで、安心材料が増え、検討しやすくなります。
無印良品ネットストアでは、商品レビュー機能を実装しているほか、レビュー投稿者にポイントを付与する仕組みを導入しています。また、高評価レビューが集まる商品を公式記事で紹介するなど、レビューを購買判断材料として積極的に活用しています。
6. FAQページを設置する
FAQページは、購入前後に発生する疑問をその場で解決できるため、ユーザーの離脱防止につながります。特に配送日数や支払い方法、返品条件などの情報が見つからない場合、ユーザーは不安を感じて購入を中断することがあります。よくある質問を整理して掲載することで、問い合わせをせずに疑問を解消できる環境を整えられます。
購入前後によく発生する質問としては、返品方法や注文キャンセルの可否、配送状況の確認方法、お支払い方法などが挙げられます。これらをカテゴリーごとに整理することで、必要な情報へ素早くアクセスできるようになります。
ZOZOTOWN(ゾゾタウン)では、返品や交換、お支払い方法、配送状況などをFAQとして整理し、「困ったときはこちら!」から目的別に情報へアクセスできる導線を設けています。
7. 送料や返品ポリシーを明確にする
送料や返品ポリシーを事前に分かりやすく提示することで、購入後のリスクに対する不安が軽減され、カート投入率の向上につながります。商品価格に納得していても、条件が不明確な場合は最終的な購入を見送るユーザーも少なくありません。購入前の段階で条件を分かりやすく提示することが重要です。
特にアパレルや家具などサイズ感や使用イメージの影響が大きい商品では、返品可能期間や返送料の負担者、返金方法などを事前に明示することが重要です。購入後のトラブルを防ぎながら、安心して注文できる環境につながります。
WORLD ONLINE STORE(ワールドオンラインストア)では、返品送料や返金方法、返送手順などを詳しく公開しています。返品時の送料負担や返金対象条件なども具体的に説明されており、購入前の不安を軽減する情報設計が行われています。
8. 信頼性を示す情報を掲載する
初めて利用するユーザーにとって、ECサイトの信頼性は購入判断に大きく影響します。運営会社情報やセキュリティ対策、保証制度などを示すことで、不安を軽減し、カート投入率の向上が期待できます。
購入前に不安を感じやすいポイントとしては、商品の正規性や決済情報の安全性、返品時の対応などが挙げられます。こうした情報を分かりやすく掲載することで、ユーザーの心理的ハードルを下げることができます。
AXES(アクシーズ)では、「初めての方へ」のページで日本流通自主管理協会(AACD)正会員であることやスクロールグループに属していること、全商品正規品であることを明示しています。さらに、トークン決済やSSL対応、返品保証についても案内しており、安心材料をまとめて伝える設計を採用しています。
9. CTAボタンを目立たせる
CTAボタンの視認性を高めることで、ユーザーが次に取るべき行動を理解しやすくなり、カート投入率の向上が期待できます。商品に興味を持っていても、購入導線が分かりにくい場合は離脱につながる可能性があります。商品詳細ページでは、価格や配送情報を確認した直後に購入できる導線を整備することが効果的です。また、ボタンの文言や配置場所を工夫することで、ユーザーの行動を後押ししやすくなります。
BASE FOODの公式サイトでは、「カートに追加」と「今すぐ購入」のCTAを商品情報の近くに配置しています。購入条件や価格を確認した流れでスムーズに次の行動へ移れる導線設計が整えられています。
10. モバイル表示を最適化する
スマートフォンでも快適に閲覧と操作ができる環境を整えることは、カート投入率の改善につながります。現在はスマートフォン経由でECサイトを利用するユーザーが多く、画面の見づらさや操作のしづらさは離脱要因になりやすい傾向があります。スマートフォン向けのUIでは、片手で操作しやすい導線設計や読みやすいレイアウト、大きめのボタン配置などが求められます。さらに、ユーザー属性に応じた情報の出し分けも利便性向上に役立ちます。
はるやまホールディングスでは、公式アプリのリニューアルを通じてUI改善やお気に入り店舗登録機能、セグメント配信機能などを強化しました。その結果、アプリ経由売上は前年比115%を達成しています。
11. ページ表示速度を改善する
ページの読み込み速度が遅いと、商品内容を確認する前に離脱されやすくなり、カート投入率にも影響します。特にモバイル環境では、わずかな遅延でも顧客体験に影響を与えるため注意が必要です。
画像の最適化や不要なスクリプトの削減、システム面での高速化施策などを実施することで、ページ表示速度を改善できます。
島村楽器オンラインストアでは、サイトスピード改善施策としてRepro Booster(リプロブースター)を導入しました。その結果、モバイル環境におけるA/BテストにおいてFCPが29%、LCPが27%改善するなど、具体的な成果が確認されています。
12. 在庫状況や希少性を伝える
在庫情報を適切に提示することで、「後で買おう」という先送りを防ぎ、カート投入率の向上につながります。十分に購入意欲が高まっていても、タイミングを逃すことでそのまま離脱してしまうケースは少なくありません。ユーザーが購入判断を行う際には、「残りわずか」「入荷予定日あり」「在庫切れ」などの情報が重要な判断材料になります。また、欠品理由や納期が分かれば、代替商品の検討もしやすくなります。
カウネットでは、在庫表示機能を刷新し、欠品理由や入荷予定日、在庫僅少時の具体数量などを表示できるようにしています。さらに配送先ごとの最短納期も案内することで、ユーザーが購入タイミングを判断しやすい環境を整備しています。
13. A/Bテストを継続する
A/Bテストを通じて、ユーザー行動に基づいた継続的な検証と改善を行うことで、カート投入率やコンバージョン率の向上につながる施策を見つけやすくなります。感覚や経験だけに頼った施策では、期待した成果が得られないことも少なくありません。検証対象としては、CTAボタンの配置や文言、商品画像の見せ方、レビュー表示位置などが挙げられます。また、カスタマージャーニーマップを活用してユーザーの行動プロセスを可視化することで、どの段階で離脱が発生しているのかを把握しやすくなります。小さな改善であっても積み重ねることで、大きな成果につながる可能性があります。
エディオンネットショップでは、Repro導入後に商品詳細ページや主要導線を中心とした改善を継続し、1年間で約50施策のPDCAを実施しました。その結果、サイト全体のCVRが前年比150%以上に改善しています。
まとめ
カート投入率は、商品ページを訪れたユーザーが購入を検討する段階まで進んだかを把握するための重要な指標です。改善することで購入者数の増加だけでなく、客単価やコンバージョン率(CVR)の向上にもつながります。
カート投入率が低下する原因には、商品情報の不足や購入条件の分かりにくさ、操作性の問題、購入を後押しする情報の不足などさまざまな要因があります。そのため、高品質な商品画像や動画の活用、レビュー掲載、FAQ整備、モバイル最適化などを通じて、ユーザーの不安を解消することが重要です。
また、カスタマージャーニーマップを活用してユーザー行動を分析し、A/Bテストによる改善を継続することで、より効果的な施策を見つけやすくなります。今回紹介した施策や事例も参考にしながら、自社ECサイトのカート投入率改善に取り組んでみてください。
カート投入率に関するよくある質問
カート投入率の計算方法は?
カート投入率(%)= カート追加数 ÷ 商品ページ閲覧数 × 100
カート投入率とコンバージョン率の違いは?
カート投入率とコンバージョン率(CVR)は、ユーザー行動のどの段階を計測するかという点に違いがあります。
- カート投入率:ユーザーが商品をカートへ追加した割合を測る指標
- コンバージョン率(CVR):最終的な購入や問い合わせなどの成果を測る指標
カート投入率を向上させる施策は?
- 高品質な商品画像を掲載する
- 商品動画を活用する
- 商品説明文を改善する
- 商品比較やサイズガイドを充実させる
- レビューや口コミを掲載する
- FAQページを設置する
- 送料と返品ポリシーを明確にする
- 信頼性を示す情報を掲載する
- CTAボタンを目立たせる
- モバイル表示を最適化する
- ページ表示速度を改善する
- 在庫状況や希少性を伝える
- A/Bテストを継続する




