はじめに
「BtoB ECを立ち上げたいが、BtoCサイトと何が違うのかわからない」
「与信管理・卸価格・承認フローといったB2B特有の要件をどう整理すればよいのか」
「自社の取引慣習をECに載せ替える際、どのプラットフォームが現実解なのか」
このような悩みを抱える企業は多いです。
BtoB ECは、市場規模が大きい一方で、従来型の受発注業務がすべてデジタル化されているわけではありません。
FAXや電話、メールによる注文が残る企業も多く、BtoB ECには業務効率化とデジタル化の両面で大きな余地があります。
ただし、BtoB ECの構築方法を誤ると、せっかくECサイトを作っても取引先が利用せず、社内ではECとFAXの二重管理が発生するケースがあります。
そこで本記事では、BtoB ECの定義や市場規模から、BtoC ECとの違い、必要な機能要件、構築方法、費用、立ち上げ手順、集客・取引先の利用促進、運用時の注意点、よくある失敗まで体系的に解説していきます。
BtoB ECの立ち上げを検討しているものの、「どの機能が必要なのか分からない」「既存の受発注業務をどうEC化すればいいのか」「BtoBに対応できるEC基盤をどう選べばいいのか」とお悩みではありませんか?
自社の商流や業務フローに合ったBtoB ECの構築方法やプラットフォームを検討したい方は、ぜひ無料相談をご活用ください。
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BtoB ECの基本的な仕組みや導入メリットについては、「BtoB ECガイド」で詳しく解説しています。
BtoB EC完全ガイド|機能要件・構築方法・成功のポイントを徹底解説
1. BtoB ECとは:定義・市場規模・主要モデル
BtoB ECとは、企業間の商取引をECサイトなどのデジタル上で行う仕組みです。
法人顧客や卸先、代理店、小売店などに対して、商品情報の確認から受発注、見積、決済、請求までの業務をオンライン化できます。
一般的なECサイト構築では、商品登録、カート、決済、配送といった機能が中心になります。一方、BtoB ECでは、取引先ごとに異なる価格や購入条件、承認権限、支払い条件などを管理する必要があります。
そのため、BtoB ECの構築では、ECサイトそのものだけではなく、営業・受発注・経理・物流など社内業務とのつながりまで設計することが重要です。
1-1. BtoB ECの定義
経済産業省の調査では、BtoB ECは企業間で行われる電子商取引を指します。
広義にはEDIなどを利用したクローズドな企業間取引も含まれますが、現在BtoB ECサイトと呼ばれるものには、Webブラウザからログインして発注するECサイト型の仕組みから、APIやEDIを利用して基幹システムと直接連携する仕組みまで、さまざまな形態があります。
たとえば、卸売企業が小売店向けに会員制のECサイトを開設し、取引先がログインして商品を発注するケースがあります。
この場合、一般消費者向けのECサイトとは異なり、ログインした企業だけに契約価格を表示したり、取引先ごとに購入可能な商品を変更したりすることがあります。
つまりBtoB ECサイト構築では、単にオンラインショップを作るのではなく、企業間取引に必要な業務ルールをデジタル化するという視点が欠かせません。
1-2. BtoB EC市場規模とEC化率
国内のBtoB EC市場規模は以下のとおりです。
|
指標 |
数値 |
出典 |
|---|---|---|
|
BtoB-EC市場規模 |
465.2兆円(2023年) |
経済産業省『令和5年度 電子商取引に関する市場調査』 |
|
BtoB-ECのEC化率 |
40.0%(2023年) |
同上 |
|
BtoC-EC市場規模(参考) |
26.96兆円(2023年) |
同上 |
BtoC-ECの市場規模が約27兆円であるのに対して、BtoB-ECは465.2兆円と非常に大きな規模です。
BtoB取引では、企業間で継続的かつ高頻度の取引が発生するため、1回あたりの注文金額や年間の取引額が大きくなりやすいことが背景にあります。
一方、EC化率は40.0%です。これは、BtoB取引のすべてがEC化されているわけではなく、電話、FAX、メール、紙の注文書などを使った取引が依然として残っていることを示しています。
そのため、BtoB ECサイトの構築は、新しい販売チャネルを作るだけではなく、既存の受発注業務をデジタル化する取り組みとしても検討できます。
特に、毎月同じ取引先から同じような注文を受けている企業では、注文受付やデータ入力、確認作業をEC化することで、営業や事務担当者の業務負担を見直せる可能性があります。
1-3. BtoB ECの主要モデル
BtoB ECは、取引相手と取引形態によって次のようなモデルに分けられます。
|
モデル |
概要 |
例 |
|---|---|---|
|
クローズド型 |
既存取引先・会員企業のみがログインして購買 |
卸先専用サイト、代理店向け受発注サイト |
|
オープン型 |
新規法人を含む不特定多数の企業にも公開 |
法人向け通販、業務用ECモール |
|
ハイブリッド型 |
一部商品は公開、契約価格や限定商品は会員制 |
カタログ閲覧は誰でも、購買は会員のみ |
|
EDI連携型 |
API/EDIで取引先の基幹システムと直結 |
大手卸→小売チェーンの定期発注 |
たとえば、既存の卸先だけを対象とする場合はクローズド型が適しています。
一方、新規法人顧客の獲得も目的とする場合は、商品情報や会社情報を一般公開し、法人登録後に価格や購入条件を表示するハイブリッド型も考えられます。
ECサイト構築の初期段階で、誰に販売するのか、既存顧客と新規顧客のどちらを重視するのかを決めておくと、必要な機能やサイト構成を整理しやすくなります。
1-4. BtoB ECが注目されている背景
BtoB EC化のニーズが高まる背景には、次のような要因があります。
-
受発注業務の効率化:FAX・電話・メールによる注文受付やデータ入力を減らす
-
属人化からの脱却:取引先ごとの価格や条件を担当者個人の経験に依存しない状態にする
-
販路拡大:新規法人顧客を獲得するオンラインチャネルを作る
-
デジタルシフトの推進:取引先が時間や場所を問わず発注できる環境を整える
-
人手不足への対応:定型的な受注処理を自動化し、限られた人員をより重要な業務へ振り分ける
BtoB ECを導入する企業にとって、目的は必ずしも売上拡大だけではありません。
たとえば、1日に100件の注文を電話やFAXで受け、担当者が販売管理システムへ手入力している場合、ECサイト構築によって注文情報を自動的に取り込めれば、受注処理にかかる時間を削減できる可能性があります。
また、取引先側にとっても、営業時間外に注文できる、過去の注文履歴を確認できる、同じ商品を再注文しやすいといったメリットがあります。
そのため、BtoB ECでは自社だけでなく、取引先側の業務負担も含めて導入効果を考えることが重要です。
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卸売ビジネスにECを導入する方法や必要な機能については、「BtoB卸売ECガイド」も参考にしてください。
BtoB卸売ECの完全ガイド|業務要件・プラットフォーム選定・導入手順を徹底解説
2. BtoB ECとBtoC ECの違い
BtoB ECを設計する際には、BtoC ECとは前提が異なることを理解する必要があります。
BtoC ECでは、個人が商品を探して購入し、クレジットカードなどでその場で決済する流れが一般的です。
一方、BtoBでは、企業間の継続取引を前提に、契約価格や掛売、与信、承認、納品条件などが設定されています。
この違いを理解せずにBtoC向けのECサイト構築をそのままBtoBへ適用すると、後から大量の追加開発が発生する可能性があります。
2-1. 主要な違いの全体像
BtoB ECとBtoC ECの主な違いを、購買者、取引、価格、支払い、物流などの観点で整理します。
|
観点 |
BtoC EC |
BtoB EC |
|---|---|---|
|
購買者 |
個人 |
企業(複数担当者・複数部署) |
|
取引関係 |
都度購買が中心 |
継続取引・契約ベース |
|
価格 |
全顧客同一価格 |
取引先ごとに契約価格 |
|
数量 |
1個単位 |
入数・ケース単位・最低発注数量(MOQ) |
|
支払い |
クレジットカード等の即時決済 |
掛売(締め支払い)が中心 |
|
与信 |
不要(カード会社が肩代わり) |
自社で与信管理が必要 |
|
承認フロー |
個人の判断で完結 |
社内稟議・上長承認が必要 |
|
配送 |
個人宅・即日〜翌日 |
倉庫間・指定日納品・分納 |
|
カタログ |
全公開 |
顧客別に閲覧可能商品が異なる |
|
カスタマーサポート |
チャット・FAQ中心 |
営業担当との直接やり取り |
特に重要なのが、企業という単位と個人ユーザーという単位を分けて考えることです。
1社につき複数のユーザーが登録され、発注担当者と承認担当者が異なる場合、ECサイト側でもそれぞれに異なる権限を付与する必要があります。
2-2. 取引慣習の違いがそのまま機能要件になる
BtoB取引の特徴は、顧客ごとに取引条件が異なることです。
たとえば、A社には標準価格から15%引き、B社には20%引き、新規取引先のC社には標準価格を適用する、といった価格設定があります。
さらに、A社は月末締め翌月末払い、B社は20日締め翌月末払いなど、支払い条件が異なるケースもあります。
こうしたルールをECサイト側で適切に管理できるようにする必要があります。
BtoC ECでは、商品マスタと価格情報が比較的シンプルであるのに対して、BtoB ECでは、
商品マスタ
↓
顧客マスタ
↓
契約価格
↓
数量割引
↓
購入条件
↓
承認ルール
↓
決済・請求条件
といった複数の情報を組み合わせて注文を処理することになります。
そのため、BtoB ECサイト構築では、画面だけを見るのではなく、裏側のデータ構造まで確認することが重要です。
2-3. UI/UXの設計思想の違い
UI設計の考え方もBtoC ECとBtoB ECでは異なります。
|
観点 |
BtoC EC |
BtoB EC |
|---|---|---|
|
UIの目指す方向 |
訴求性・ブランディング |
業務効率・正確性 |
|
商品検索 |
カテゴリ・キーワード |
品番・型番・JANコード |
|
写真・動画 |
大きく訴求 |
必要十分。一覧性重視 |
|
商品ページ |
ストーリー・レビュー重視 |
仕様・在庫・納期重視 |
|
注文導線 |
1点購入のスムーズさ |
一括発注・再注文の効率 |
BtoB ECでは、購買担当者が毎週、毎月のように同じ商品を発注するケースがあります。
その場合、重要なのは商品を魅力的に見せることだけではなく、目的の商品をすぐに見つけ、必要数量を入力し、短時間で発注できることです。
たとえば、品番を直接入力して商品を検索できる機能、CSVによる一括注文、過去の注文からの再注文、よく使う商品のお気に入り登録などは、BtoB ECの使い勝手を大きく左右します。
2-4. KPIの違い
BtoB ECでは、売上だけをKPIにすると導入効果を正しく評価できない場合があります。
|
観点 |
BtoC ECの主要KPI |
BtoB ECの主要KPI |
|---|---|---|
|
売上 |
月商・年商 |
取引先別売上・取引継続率 |
|
CV |
購入数・CVR |
Web経由受注比率・Web発注社数 |
|
顧客 |
新規顧客獲得・LTV |
アクティブ取引社数・1社あたり発注頻度 |
|
業務 |
カゴ落ち率 |
受発注の自動化率・電話/FAX対応削減時間 |
たとえば、EC経由の売上が導入前と変わらなかったとしても、電話・FAXによる注文が50%減少し、営業担当者の受注処理時間が月100時間削減されたのであれば、ECサイト構築による業務改善効果があったと評価できます。
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ECサイト要件定義の進め方|RFP作成・要件定義書テンプレ・落とし穴
3. BtoB ECに必須の機能要件
BtoB ECの中核は、BtoC ECには必ずしも必要ではない独自の機能群です。
ここでは、BtoB ECサイト構築を検討する際に確認したい主要な機能要件を6つの領域に分けて解説します。
3-1. 顧客(取引先)管理機能
BtoB ECの起点となるのが、取引先企業と、その企業に所属するユーザーの管理です。
必要になる代表的な機能は以下です。
-
取引先企業マスタ管理:企業名・部署・本店・支店・住所などを管理
-
担当者アカウント管理:1社に複数の発注担当者を紐付ける
-
権限管理:発注者・承認者・管理者などの権限を分ける
-
会員ランク・取引区分:取引条件に応じて企業を分類
-
取引先別の商品表示制御:顧客によって購入可能商品を変更
-
取引先別のサイト表示:企業ごとにバナーやコンテンツを変更
BtoB ECでは、単純な会員登録ではなく、企業を親アカウントとして、その下に複数ユーザーを紐付けられる設計が重要です。
特に大手企業では、購買担当者が退職・異動した場合のアカウント管理も必要になります。
3-2. 価格・見積・割引機能
BtoB ECサイト構築において、価格管理は特に重要な領域です。
代表的な機能には以下があります。
-
顧客別契約価格:取引先ごとに商品単価を変更
-
数量割引:一定数量以上の注文で単価を変更
-
ケース単位の発注:1個、1ケース、1パレットなど単位を変更
-
最低発注数量(MOQ):最低注文数を設定
-
見積機能:営業確認後に正式注文へ移行
-
特別価格設定:特定顧客だけに特別単価を適用
-
キャンペーン価格:期間限定の価格を設定
-
見積有効期限:一定期間だけ見積価格を適用
たとえば、標準価格1,000円の商品をA社には800円、B社には850円で販売する場合、ログインした顧客に応じて適切な価格を表示できなければなりません。
そのため、BtoB ECのプラットフォームを選定する際は、単に価格変更機能があるかではなく、顧客別価格をどのような単位で管理できるのかまで確認する必要があります。
3-3. 受発注・承認フロー機能
BtoB取引では、発注担当者が注文内容を入力しただけで即時確定とは限りません。
社内の予算や購入金額に応じて、上長や購買部門の承認が必要になる場合があります。
代表的な機能は以下です。
-
多段階承認フロー:申請者→課長→部長→発注確定など
-
金額による承認分岐:一定金額を超えた場合だけ上位承認
-
承認権限設定:ユーザーごとに操作範囲を設定
-
承認待ちの通知:メールや管理画面で通知
-
発注書・注文書PDF出力
-
発注履歴の確認
-
再注文機能
-
定期発注・スケジュール発注
特に再注文機能は、リピート購入が多いBtoB ECと相性の良い機能です。
過去の注文内容を確認して同じ商品を再度カートへ入れられるようにすることで、購買担当者の入力負担を減らせます。
3-4. 与信・決済・請求機能
BtoB取引では、クレジットカードによる即時決済だけでなく、掛売や締め支払いへの対応が必要になります。
代表的な機能は以下です。
-
与信枠管理
-
与信残高の確認
-
与信超過時のアラート
-
営業承認への切り替え
-
掛売決済
-
請求書発行
-
インボイス対応
-
顧客別の締め日・支払日の設定
-
法人向け決済サービスとの連携
たとえば、取引先ごとに月間の与信枠が設定されている場合、ECからの注文時に現在の利用残高を確認できるようにすることで、与信枠を超えた注文を防ぐ仕組みを構築できます。
ただし、与信や請求のルールは企業ごとに異なるため、ECサイト側だけで完結させるのか、販売管理システムや決済サービスと連携するのかを事前に整理する必要があります。
3-5. 物流・配送機能
BtoBの物流では、個人宅への配送を前提としたBtoC ECとは異なる要件が発生します。
-
複数配送先の管理
-
分納指定
-
指定日納品
-
指定便・指定運送会社
-
倉庫・出荷拠点指定
-
梱包指定
-
納品書・受領書・送り状の出力
たとえば、1社が本社と10店舗を持っている場合、同じ注文の中で配送先を分ける必要があります。
また、在庫状況によって一部の商品だけ先に発送し、残りを後日納品するケースもあります。
そのため、BtoB ECのECサイト構築では、カートや決済だけでなく、注文後の出荷・納品まで含めて設計することが重要です。
3-6. 基幹システム連携
BtoB ECは、ECサイトだけで業務を完結させることが難しいケースが多くあります。
ERP、販売管理、在庫管理、WMS、CRM、SFAなどとの連携を前提に設計します。
代表的な連携は以下です。
-
商品マスタ連携
-
在庫情報連携
-
顧客マスタ連携
-
価格情報連携
-
受注データ連携
-
出荷情報連携
-
請求情報連携
-
CRM・SFA連携
-
MA連携
-
EDI連携
ECサイト上では在庫があるように見えても、基幹システム上の在庫と一致していなければ、欠品や過剰販売につながります。
そのため、ECサイト構築の初期段階から、どのシステムを正とするのか、どのデータをどのタイミングで同期するのかを決めておくことが重要です。
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BtoB ECの受注業務を効率化する方法については、「受発注システムガイド」も参考にしてください。
受発注システムとは|機能・種類・選び方とBtoB EC連携の全体像
4. BtoB ECの構築方法と選び方
BtoB ECの構築方法は、大きく4つに分けられます。
どの方法が適しているかは、取引社数、必要な機能、既存システム、社内の開発体制、予算などによって変わります。
4-1. 構築方法の比較
|
構築タイプ |
初期費用相場 |
月額/年額 |
構築期間 |
カスタマイズ性 |
|---|---|---|---|---|
|
ASP・SaaS型(BtoB向け) |
0〜100万円 |
数万円〜30万円/月 |
即日〜2ヶ月 |
限定的 |
|
ASP・SaaS型(汎用+拡張) |
0〜300万円 |
数万円〜数十万円/月 |
1〜4ヶ月 |
中(アプリ・カスタマイズで補強) |
|
オープンソース型 |
50〜300万円 |
サーバー・保守費別 |
1〜4ヶ月 |
高い |
|
パッケージ型・スクラッチ |
500〜3,000万円超 |
保守費別 |
6〜18ヶ月 |
高い |
※費用相場は一般的な目安です。実際の費用は、商品数、取引先数、カスタマイズ範囲、基幹システム連携、デザイン、運用体制などによって大きく変動します。
ECサイト構築では、初期費用だけで判断しないことが重要です。
たとえば、初期費用が安いサービスでも、毎月の利用料、アプリ利用料、追加開発費、保守費、外部システム連携費などが積み重なることがあります。
反対に、初期費用が高くても、標準機能で必要な業務をカバーできれば、追加開発を抑えられるケースもあります。
そのため、初期費用と月額費用だけではなく、3年、5年単位の総保有コスト、いわゆるTCOで比較すると判断しやすくなります。
4-2. 代表的なサービス例
国内外でBtoB ECの構築に利用されているサービスには、BtoB特化型のサービスから、汎用ECプラットフォームを拡張して利用する方法まであります。
ASP・SaaS型(BtoB特化または汎用+BtoB機能)
-
Bカート:BtoB EC向けのASP。卸取引や会員制ECに必要な機能を提供
-
アラジンEC:BtoB EC向けクラウドサービス。基幹システムとの連携にも対応
-
EC-Rider B2B:BtoB EC向けクラウド型ECパッケージ
-
Shopify:BtoCとBtoBの両方に利用できるグローバルECプラットフォーム。BtoB向け機能やアプリ、APIを活用して企業間取引に対応できる
オープンソース型
-
EC-CUBE:国内で広く利用されているオープンソース型ECプラットフォーム。拡張機能を利用してBtoB向け機能を追加可能
パッケージ・スクラッチ型
-
ecbeing:中規模から大規模事業者向けの国産ECパッケージ
-
コマース21:大規模ECに対応する国産パッケージ
-
Magento(Adobe Commerce):グローバルで利用されているエンタープライズ向けプラットフォーム
重要なのは、サービス名だけで判断しないことです。
同じBtoB ECでも、必要な機能や既存システムとの連携方法によって適した構築方法は変わります。
Shopifyを利用する場合も、標準機能だけでどこまで対応できるのか、アプリやAPIで何を拡張するのか、外部システムとの連携をどのように設計するのかを事前に整理しておくことが重要です。
4-3. 構築方法の選び方の判断軸
構築方法の選定は、次の4つの判断軸で整理すると比較しやすくなります。
軸1:事業規模と取引社数
|
取引社数 |
推奨される構築タイプ |
|---|---|
|
〜50社 |
ASP・SaaS型(BtoB特化) |
|
50〜500社 |
ASP・SaaS型(拡張)or オープンソース |
|
500〜5,000社 |
パッケージ型 or SaaS型のエンタープライズプラン |
|
5,000社以上 |
パッケージ・スクラッチ・エンタープライズSaaS |
ただし、取引社数だけで判断するのは適切ではありません。
50社しか取引先がなくても、1社ごとに価格や承認フローが大きく異なる場合は、高い拡張性が必要になります。
反対に、数千社の取引先があっても、商品・価格・注文フローがシンプルであれば、SaaS型で対応できる可能性があります。
軸2:取引慣習の複雑さ
承認フロー、与信管理、契約価格、最低発注数量、配送条件などが複雑になるほど、ECプラットフォームの拡張性が重要になります。
特に、現在の業務をすべてそのまま再現しようとすると、カスタマイズ量が増えやすくなります。
ECサイト構築を機に業務そのものを整理し、標準機能に合わせられる部分と、どうしても個別対応が必要な部分を切り分けることが大切です。
軸3:既存システムとの連携範囲
ERP、販売管理、在庫管理、WMS、CRM、SFAなどとの連携が必要なら、APIやWebhook、EDIなどの連携方式を確認します。
確認すべきなのは、単純にAPIが存在するかどうかだけではありません。
どのデータを取得できるのか、更新できるのか、リアルタイム連携できるのか、連携処理に制限があるのかなども確認する必要があります。
軸4:構築・運用にかけられるリソースと予算
社内に開発担当者がいるのか、EC運用担当を配置できるのか、外部パートナーへどこまで委託するのかによっても適した構築方法は変わります。
SaaS型は自社でサーバーを管理する負担を抑えやすい一方、独自仕様を実現するには制約が生じることがあります。
一方、スクラッチ開発は自由度が高い反面、開発費用や保守体制が必要になります。
4-4. SaaS型 vs パッケージ型の主な違い
実務では、SaaS型とパッケージ型のどちらを選ぶかが大きな分岐点になります。
|
観点 |
SaaS型 |
パッケージ型 |
|---|---|---|
|
初期費用 |
抑えめ |
高め |
|
月額/保守費 |
月額固定(プラン制) |
保守費・追加開発費が別途 |
|
構築期間 |
短い |
長い |
|
機能追加 |
プラットフォーム側で自動アップデート |
自社対応・追加開発が必要 |
|
カスタマイズ性 |
範囲が決まっている |
自由度が高い |
|
運用体制 |
軽め |
専任体制が必要 |
|
セキュリティ対応 |
プラットフォーム側で対応 |
自社責任 |
近年のECサイト構築では、すべてをゼロから開発するのではなく、SaaSをベースにして不足する機能をアプリやAPI、外部サービスなどで補う構成も検討できます。
Shopifyもこの考え方と相性がよく、標準機能を活用しながら、必要な部分だけ拡張することで、独自開発の範囲を抑えたECサイト構築を検討できます。
4-5. 既存基幹システムとの連携を前提とした選定
中規模以上のBtoB ECでは、ECサイト単体の機能比較だけでなく、既存システムとの連携方法が重要になります。
確認したいポイントは以下です。
-
REST API・GraphQL対応
-
Webhook対応
-
EDI連携
-
CSV連携
-
iPaaSとの接続
-
外部アプリ・連携サービスの充実度
-
データ連携の頻度
-
エラー発生時のリカバリー方法
たとえば、ECで注文を受けた後、販売管理システムへ自動的に受注情報を渡し、在庫情報をECへ返す仕組みを作る場合、どちらをマスターとするかを事前に決めておく必要があります。
ECサイト構築の初期段階で連携設計を後回しにすると、リリース後に手作業が大量に残る可能性があります。
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事業規模や業務要件に合わせて、最適なEC基盤を一緒に検討できます。
最適な構築方法を検討したい方は、お気軽にご相談ください。
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ECの受注・在庫管理などの業務を効率化する方法については、「EC業務効率化ガイド」で詳しく解説しています。
EC業務効率化の完全ガイド|在庫・受注・物流・CSの4領域で進める自動化と人手不足対策
5. BtoB ECサイトの立ち上げステップ
BtoB ECの立ち上げでは、サイトを制作する前の要件整理が特に重要です。
一般的なBtoC ECよりも、既存取引先や社内業務、基幹システムとの関係が複雑になりやすいためです。
ここでは、BtoB ECサイト構築を7つのステップに分けて解説します。
5-1. ステップ1:現状の取引フローの可視化(期間:2〜4週間)
最初に行うのは、現在の受発注業務の棚卸しです。
確認する項目は以下です。
-
取引先別の契約価格・取引条件
-
注文受付チャネル
-
FAX・電話・メール・Excel注文書の件数
-
営業担当が行っている手作業
-
与信管理の方法
-
請求業務の流れ
-
在庫管理の方法
-
出荷・配送フロー
-
基幹システムとのデータ連携
ここで重要なのは、現在の業務をそのままECに移すことだけを考えないことです。
たとえば、電話注文を受けた担当者がExcelへ入力し、その後販売管理システムへ再入力しているのであれば、ECサイト構築を機に二重入力そのものをなくせないか検討します。
5-2. ステップ2:要件定義・RFP作成(期間:3〜6週間)
現状を整理したら、要件定義を行います。
RFPには以下の項目を含めます。
-
機能要件
-
非機能要件
-
基幹システム連携要件
-
データ移行要件
-
セキュリティ要件
-
運用要件
-
サポート要件
-
将来的な拡張要件
特に重要なのが、必須機能と将来的に追加したい機能を分けることです。
すべての要望を初期リリースに詰め込むと、予算と開発期間が膨らみます。
そこで、最初のリリースでは受発注・価格・顧客管理などコア機能に集中し、その後の改善フェーズで機能追加する方法もあります。
5-3. ステップ3:プラットフォーム選定(期間:4〜8週間)
RFPをもとに複数のECプラットフォームや開発会社へ相談し、機能・費用・実績・サポートを比較します。
確認するポイントは以下です。
-
標準機能でどこまで要件を満たせるか
-
追加開発が必要な範囲
-
基幹システムとの連携方法
-
初期費用
-
月額費用
-
アプリ・外部サービス費用
-
保守費用
-
5年間のTCO
-
構築期間
-
導入実績
-
サポート体制
-
セキュリティ
可能であれば、実際の業務シナリオを使ったデモを依頼しましょう。
たとえば、
-
A社の担当者がログイン
-
A社専用価格を確認
-
商品をケース単位で注文
-
上長へ承認申請
-
承認後に受注確定
-
基幹システムへデータ連携
-
出荷情報をECへ反映
といった一連の流れを実際に確認すると、資料だけではわからない使い勝手や制約を把握できます。
5-4. ステップ4:設計・構築(期間:3〜8ヶ月)
プラットフォームが決まったら、詳細設計と開発を進めます。
主な作業は以下です。
-
画面設計
-
データ設計
-
商品・顧客マスタ整備
-
API設計
-
基幹連携
-
価格制御
-
承認フロー
-
与信管理
-
決済・請求
-
配送設定
-
デザイン・UI/UX
-
権限設計
BtoB ECでは、管理画面側の設計も重要です。
たとえば、営業担当者が顧客情報を確認できるのか、価格を変更できるのか、注文を代理登録できるのかなど、社内ユーザーの権限も整理する必要があります。
5-5. ステップ5:テスト・パイロット運用(期間:4〜8週間)
開発が完了したら、本番リリース前に十分なテストを行います。
-
機能テスト
-
API・基幹連携テスト
-
在庫連携テスト
-
決済テスト
-
権限テスト
-
負荷テスト
-
データ移行テスト
-
実際の取引フローを使ったリハーサル
そのうえで、一部の取引先に協力してもらい、パイロット運用を行います。
実際の購買担当者に使ってもらうことで、社内では気づかなかった入力ミスや操作上の問題を発見できます。
5-6. ステップ6:本番リリース・既存取引先の移行(期間:1〜6ヶ月)
本番リリース後は、既存取引先を段階的にECへ移行します。
主な施策は以下です。
-
主要取引先から段階的に移行
-
営業担当による説明会
-
操作マニュアルの提供
-
操作動画の作成
-
FAQの整備
-
問い合わせ窓口の設置
-
FAX・電話との並行運用
-
EC利用を促すキャンペーン
BtoB ECでは、サイトを公開しただけでは利用率が上がらないことがあります。
取引先からすると、従来の電話やFAXで問題なく注文できている場合、わざわざ新しい仕組みを覚える理由がないためです。
そのため、EC化によって何が便利になるのかを取引先側にも伝える必要があります。
5-7. ステップ7:定着・改善(継続)
BtoB ECは、リリースして終わりではありません。
以下のKPIを定期的に確認します。
-
Web経由受注比率
-
EC利用企業数
-
取引先ごとの利用率
-
電話・FAX件数
-
受注処理時間
-
注文エラー件数
-
問い合わせ件数
-
再注文率
-
営業担当者の受注対応時間
利用率が低い場合には、単純に取引先へ利用を促すだけではなく、どの画面で離脱しているのか、どの商品で注文に時間がかかっているのかを確認します。
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BtoB ECで発生する受注処理を効率化するには、「受注管理ガイド」もご覧ください。
受注管理とは|EC事業の基本フロー・課題・効率化のポイントを徹底解説
6. BtoB EC運用で押さえるべき業務設計のポイント
BtoB ECは、機能を実装しただけでは十分ではありません。
営業、受発注、経理、物流、システム部門など、社内の役割分担を見直し、ECを使い続けられる運用体制を作る必要があります。
6-1. 営業担当の役割再定義
BtoB EC導入後は、営業担当者が受注入力や注文確認に使っていた時間を減らし、提案活動や既存顧客との関係構築へ振り分けることが期待できます。
-
定型発注はECへ移行
-
営業は新商品提案や取引拡大に注力
-
受注処理中心の業務から顧客支援中心へ移行
-
顧客のEC利用状況を管理画面で確認
-
ECで取得した購買データを営業活動に活用
ただし、EC導入直後は電話やFAXがすぐになくなるとは限りません。
移行期間中にECと従来チャネルが並行すると、社内業務が一時的に増える可能性があります。
そのため、いつまでに何%をECへ移行するのかなど、具体的な目標を設定しておくことが重要です。
6-2. 取引先側のEC定着支援
BtoB ECでは、取引先側の利用定着が成果を大きく左右します。
-
ログイン情報を確実に案内
-
初回ログインをサポート
-
操作説明会を実施
-
マニュアル・動画・FAQを用意
-
電話・チャットなど問い合わせ窓口を明確化
-
よく利用する商品の登録方法を案内
-
再注文方法を案内
特に初回注文までのハードルを下げることが重要です。
最初の注文を担当者と一緒に行い、その後は自社で操作してもらう方法もあります。
6-3. 業務効率化指標の設計
BtoB ECの効果は、売上だけではなく業務効率化でも測定します。
|
指標カテゴリ |
主要KPI |
|---|---|
|
受注効率 |
Web経由受注比率、1注文あたり処理時間 |
|
営業効率 |
営業担当の受発注対応時間、営業1人あたり担当社数 |
|
取引先利用 |
アクティブ取引社数、月次ログイン回数 |
|
エラー削減 |
注文ミス件数、再請求件数 |
|
売上 |
取引先別売上、新規取引先獲得数 |
経営層へ報告する場合は、売上増加だけでなく、削減できた工数を金額換算して示す方法もあります。
6-4. 価格・条件管理の運用フロー
BtoB ECでは、取引先別の価格や条件が変更されることがあります。
そのため、価格マスタを誰が管理するのかを明確にしておきます。
-
価格変更の承認権限
-
価格マスタの更新タイミング
-
特別価格の登録方法
-
キャンペーン価格の終了処理
-
価格変更履歴の保存
-
誤登録時の復旧方法
特に価格は売上や利益へ直接影響するため、担当者一人だけで変更できる状態を避け、必要に応じて承認フローを設けることが重要です。
6-5. セキュリティ・コンプライアンス対応
BtoB ECでは、一般消費者向けEC以上に企業間取引に関する情報を扱うことがあります。
たとえば、契約価格、購入履歴、担当者情報、与信情報などです。
そのため、以下のような対策を検討します。
-
取引先・担当者単位のアクセス権限管理
-
管理者権限の分離
-
操作ログの記録
-
通信・保存データの保護
-
個人情報保護法への対応
-
電子帳簿保存法への対応
-
インボイス制度への対応
-
バックアップ
-
障害発生時の復旧手順
-
BCPの整備
法制度やプラットフォームの仕様は変更される可能性があるため、ECサイト構築時だけでなく運用開始後も定期的に確認する体制を整えておくことが大切です。
自社の業務フローに合わせたBtoB EC運用を検討したい方は、無料相談をご活用ください。
業務設計まで含めて最適化したい方は、ぜひ無料相談・資料ダウンロードをご利用ください。
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BtoB ECの商品在庫を適切に管理する方法については、「EC在庫管理ガイド」も参考になります。
EC在庫管理の完全ガイド|基本フロー・課題・システム連携とKPI設計を徹底解説
7. BtoB ECでよくある失敗パターン
BtoB ECの構築では、システムそのものよりも、要件整理や社内外の運用設計が原因で問題が発生するケースがあります。
代表的な5つの失敗パターンを紹介します。
7-1. 失敗1:BtoC ECの設計思想をそのまま流用してしまう
BtoC ECで利用している仕組みをそのままBtoBにも使えると考えてしまうケースです。
BtoBでは、顧客別価格、複数ユーザー、承認フロー、掛売、与信管理、複数配送先などが必要になる場合があります。
これらを後から追加すると、追加開発の費用や期間が膨らむ可能性があります。
回避策:
プラットフォーム選定前に、必要な機能を一覧化します。
標準機能で対応できるもの、アプリなどで拡張できるもの、個別開発が必要なものを分けておくと、見積比較もしやすくなります。
7-2. 失敗2:要件定義が不十分なまま発注し、後から大量の追加開発
BtoB取引には、社内の担当者だけが知っている暗黙のルールが残っていることがあります。
たとえば、特定顧客だけ特別価格、一定金額を超えると電話確認、特定商品は指定便のみ、といったルールです。
これらを整理しないままECサイト構築を始めると、開発途中で追加要件が次々に発生します。
回避策:
営業、受発注、経理、物流、情シスなど、関係部署を巻き込んで現状フローを整理します。
そのうえで、必須要件、できれば対応したい要件、将来対応する要件に分けます。
7-3. 失敗3:基幹システム連携を後回しにする
ECサイトだけを先に構築し、基幹システムとの連携を後から考えるケースです。
この場合、ECで注文を受けても担当者が販売管理システムへ手入力することになり、EC化による業務効率化が十分に実現できません。
回避策:
ECサイト構築の企画段階から基幹システムを含めたデータフローを設計します。
商品、在庫、顧客、価格、受注、出荷、請求など、それぞれのデータをどのシステムで管理するのかを決めておきます。
7-4. 失敗4:取引先のEC移行支援が不十分
ECサイトを公開して、取引先にURLとログイン情報を送るだけでは、利用が定着しない場合があります。
購買担当者からすると、従来のFAXや電話のほうが慣れているためです。
回避策:
-
営業担当による説明
-
操作マニュアル
-
操作動画
-
初回注文サポート
-
問い合わせ窓口
-
並行運用期間
-
EC利用のメリット提示
などを事前に用意します。
7-5. 失敗5:運用後の改善体制を設計していない
ECサイトは公開した時点で完成ではありません。
利用データを確認すると、検索されていない商品、注文しづらい画面、問い合わせが集中する機能などが見えてきます。
これらを改善しなければ、ECサイトの利用率が伸びない可能性があります。
回避策:
立ち上げ前から、誰がKPIを管理するのか、誰が改善要望を集約するのか、どの基準で追加開発を判断するのかを決めます。
リリース後1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月などのレビュータイミングを設定しておくと、改善を継続しやすくなります。
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自社の業務要件に合ったEC基盤を選ぶ方法については、「ECプラットフォーム選定ガイド」をご覧ください。
ECプラットフォーム選定の完全ガイド|要件定義から評価まで4ステップで解説
まとめ
BtoB ECは、単に商品をオンラインで販売するためのECサイトではありません。
顧客別価格、承認フロー、与信管理、掛売、複数配送先、基幹システム連携など、企業間取引に存在するさまざまな業務ルールをデジタル化する仕組みです。
そのため、BtoB ECサイト構築では、最初からデザインやカート機能だけを比較するのではなく、自社の取引フローを整理することから始めることが重要です。
国内BtoB EC市場は465.2兆円、EC化率は40.0%とされており、今後も受発注業務のデジタル化を検討する企業にとって、ECサイトは重要な業務基盤の一つになり得ます。
BtoB ECを導入する目的も、売上拡大だけではありません。
FAXや電話による受注を減らす、注文入力のミスを減らす、営業担当者の事務作業を削減する、取引先がいつでも発注できる環境を作るなど、業務改善を含めて考えることが大切です。
ECサイト構築を成功させるためには、プラットフォームの機能だけではなく、既存システムとの連携、取引先の利用定着、運用体制まで含めて設計しましょう。
BtoB EC構築成功の5つのポイント
-
現状の取引フロー可視化に時間をかける
FAX・電話・メール・Excelなど、現在どのような方法で注文を受けているのかを整理します。営業、受発注、経理、物流、情シスなど関係部署からヒアリングし、業務の流れを可視化しましょう。 -
B2B特有の機能要件を選定段階でチェックする
顧客別価格、承認フロー、与信、掛売、複数配送先、再注文など、自社に必要な機能を一覧化します。標準機能で対応できる範囲と追加開発が必要な範囲を事前に確認することが重要です。 -
基幹システム連携を最初から設計に組み込む
ECサイト単体ではなく、ERP、販売管理、在庫管理、WMS、CRMなどとのデータ連携まで考えます。API、CSV、EDIなど、必要な連携方式を構築前に確認します。 -
取引先のEC移行支援を立ち上げ計画に組み込む
ECサイトを構築するだけでは利用率は上がりません。営業による説明、操作マニュアル、FAQ、初回注文サポート、並行運用などを用意し、取引先が無理なく移行できる環境を整えます。 -
運用後の改善体制を立ち上げ前に設計する
Web経由受注比率やEC利用率、受注処理時間、問い合わせ件数などのKPIを設定します。公開後もデータを確認しながら、UI改善や機能追加を継続します。
最初の一歩を踏み出そう
BtoB EC構築を検討する際は、いきなりECプラットフォームを比較するのではなく、まず現在の取引フローを整理しましょう。
たとえば、直近1ヶ月のFAX・電話・メール注文を集計し、取引先ごとの注文数、商品数、注文頻度、受注処理にかかる時間を確認します。
次に、取引先別価格、承認フロー、与信管理、配送条件、請求処理、基幹システムとのデータ連携などを整理します。
ここまで行うと、自社のBtoB ECに必要な機能が具体的になります。
そのうえで複数のECプラットフォームを比較し、実際の業務シナリオに沿ったデモを確認しましょう。
Shopifyを含めたSaaS型ECを利用する場合は、標準機能で対応できる範囲と、アプリ・API・外部システム連携で補う部分を明確にすることがポイントです。
ECサイト構築は、サイトを公開すること自体がゴールではありません。
取引先が継続して利用し、社内の受発注業務が効率化され、営業担当者が本来の営業活動に時間を使える状態まで設計して初めて、BtoB ECの導入効果を発揮できます。
「自社の受発注業務をEC化したい」「BtoB ECに必要な機能を整理したい」「ShopifyでBtoB ECを構築できるのか知りたい」という方は、ぜひ専門家にご相談ください。
現在の業務フローや事業規模、取引条件を踏まえて、自社に適したBtoB ECの構築方法や必要なシステム連携を整理できます。
「BtoB ECを新たに立ち上げたい」「既存の受発注システムを刷新したい」「フルスクラッチではなく柔軟性とコストを両立したい」とお考えの方は、ぜひ無料相談や資料ダウンロードをご利用ください。
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独自の掛け率や価格設定、承認フローなどを実現する方法については、「ECカスタマイズガイド」も参考にしてください。
ECサイトのカスタマイズ完全ガイド|費用相場・独自機能・拡張性を徹底解説
参考文献
-
経済産業省『令和5年度 電子商取引に関する市場調査』2024年(https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/statistics/outlook/ie_outlook.html)
-
総務省『通信利用動向調査』
-
国税庁『インボイス制度(適格請求書等保存方式)』
※本記事中の数値は2026年5月時点の業界統計・公開情報に基づいています。費用相場・構築期間は業界一般の目安であり、実際の数値は事業構造・要件・連携範囲により大きく異なります。




