Shopify Plus(ショッピファイプラス)は、Shopifyのエンタープライズ向けプランです。成長しているビジネスや大規模なEC運営に対応できるように設計されており、通常プランの機能に加えて、より高度なカスタマイズや運用管理に役立つ機能を利用できます。
販売チャネル、顧客層、商品数が増え、社内体制が複雑になってきた企業にとって、Shopify Plusは運用を拡張しやすいコマース基盤である一方で、できることが増える分、「どの機能から確認すればよいのか」「自社の運用にどう活かせばよいのか」と迷うこともあるでしょう。
この記事では、Shopify Plusにアップグレードした後、まずやっておくべき8つのポイントと、Shopify Plusのメリットを紹介します。

Shopify Plusにアップグレードしたらすべきこと8選
- Plusアカデミーで機能や活用方法を学ぶ
- チェックアウト拡張機能で購入体験を整える
- B2B販売とD2C販売の管理を見直す
- 顧客セグメントを活用して広告やマーケティングを見直す
- Launchpadでセールや新商品発売を自動化する
- API連携で外部システムとつなげる
- 複数ストアの管理体制を整える
- サポートやパートナーを活用する
1. Plusアカデミーで機能や活用方法を学ぶ
Shopify Plusにアップグレードしたら、まずはPlusアカデミー(英語)で、利用できる機能や活用方法を確認しましょう。
Plusアカデミーは、Shopifyの公式オンライントレーニングプログラムであるShopifyアカデミー(英語)の中の、Shopify Plusプラン向け学習コンテンツです。Plus アカデミーでは、Shopify Plusの機能、EC運営のベストプラクティス、外部システムとの連携などについて学べる自主学習型のオンラインコースが用意されています。
Shopify Plusに特化したコースには、Shopifyアカデミーから検索して直接アクセスできるほか、Shopify管理画面のアカウントメニューから「Plusアカデミー」を選択してアクセスできます。
ただし、Shopify アカデミーはPlusに特化したコースも含めて、2026年現在は英語で提供されているコンテンツが中心です。Shopifyヘルプセンターの日本語ページも並行して確認しながら進めるとよいでしょう。
2. チェックアウト拡張機能で購入体験を整える
Shopify Plusにアップグレードしたら、チェックアウト拡張機能を使って、購入完了前後のUXデザインを整えましょう。
チェックアウト拡張機能は、チェックアウトページ、サンキューページ、注文状況ページなどを、ブランド戦略や販売方法に合わせてカスタマイズするための仕組みです。Shopify Plusでは、情報入力、配送、支払いステップなど、チェックアウト全体の表示やルールをより柔軟に調整できます。
まずは、Shopify管理画面の[設定] > [チェックアウト]から、チェックアウトとアカウントのエディタを開き、ロゴ、色、フォントなどを確認しましょう。チェックアウトページだけでなく、サンキューページ、注文状況ページ、お客様アカウントページも含めて、ブランドガイドラインに合う見た目にすることで、ブランディングの強化につながります。
必要に応じて、Checkout Blocksアプリやチェックアウト拡張機能に対応したアプリも活用できます。Checkout Blocksアプリ自体のUIは英語ですが、直感的に操作でき、コードを書かなくても、日本語サイトの案内や注意事項の表示、決済方法や配達方法の並べ替え、ディスカウントの設定などを行えます。管理画面やアプリだけでは対応できない独自のカスタマイズを行う場合は、開発者やShopifyパートナーと連携しましょう。
カスタマイズ後は、顧客行動を計測するShopifyピクセルや、Googleのアクセス解析ツールであるGA4などを使って、コンバージョン率、平均注文額、チェックアウト離脱率などを確認しましょう。数値を見ながら、案内の内容、アプリの表示位置、特典の出し方などを調整し、購入者にとって使いやすい購入体験を整えていくことが大切です。
3. B2B販売とD2C販売の管理を見直す
Shopify Plusにアップグレードしたら、B2B販売とD2C販売をどのように管理するかを見直しましょう。
Shopify Plusでは、B2B販売とD2C販売を1つのストアにまとめることも、D2Cのストアから拡張して、B2B専用のストアを用意することも可能です。
まず検討したいのは、B2B販売とD2C販売を1つのストアでまとめて管理するか、B2B専用の拡張ストアを用意して分けて管理するかです。商品、顧客、注文、決済などが、B2BとD2Cで共通する部分が多い場合は、1つのストアでまとめて管理する方法をとると便利です。反対に、法人顧客向けの商品構成、価格設定、決済条件、購入導線が大きく異なる場合、B2Bの専用ストアを用意するといいでしょう。
4. 顧客セグメントを活用して広告やマーケティングを見直す
Shopify Plusにアップグレードしたら、顧客データを活用した広告配信やマーケティング戦略も見直しましょう。
顧客セグメントはShopify Plus限定の機能ではありませんが、アップグレード後に販売チャネルや顧客層が広がる場合は、あらためて整理しておきたい項目です。Shopifyでは、購入履歴、注文回数、メール購読状況、地域など同じような特徴を持つ顧客をセグメントとして、次のような顧客グループを作成できます。
- 初回購入後、まだ2回目の購入がない顧客
- 一定金額以上を購入している優良顧客
- しばらく購入していない休眠顧客
- 特定カテゴリの商品を購入した顧客
作成した顧客セグメントは、メールマーケティング、ディスカウント、広告配信、LINE配信、リターゲティング施策などに活用できます。初回購入後の顧客には関連商品の情報や使い方などのコンテンツを案内し、リピーターには限定販売や先行発売の案内を送るなど、顧客の状態に合わせてコミュニケーションを変えることが大切です。
広告施策では、Meta広告、Google広告、LINE広告などとShopifyのデータを組み合わせることで、購入につながる可能性の高い顧客層に向けて効率的に配信できます。配信後は、コンバージョン率、購入単価、リピート購入率、広告費用対効果などを確認しながら、配信内容やセグメントを調整しましょう。
5. Launchpadでセールや新商品発売を自動化する
Shopify Plusにアップグレードしたら、Launchpad(ローンチパッド)を使ってセールや新商品発売の準備を自動化できます。
Launchpadは、Shopify Plusでのみ使えるShopify公式のスケジューリングツールです。セール、新商品発売、在庫補充、キャンペーンなどのイベントを事前に作成し、開始から終了までの作業を予約設定できます。
たとえば、限定商品の販売などで発生する商品公開、価格変更、割引の適用、テーマ切り替えなどの複数の作業も、予約設定することで決めたタイミングで自動的にサイトに反映されます。イベント終了後には、セール価格や公開状態などを元に戻す設定も行えるなど、キャンペーン運用の負担を減らすことができ、手作業で発生しがちな設定漏れや戻し忘れが起きることもありません。
また、イベントの実施後には、売り上げや注文数などの結果を確認できます。大型セールや新商品発売を定期的に行うストアでは、Launchpadを活用することで、販売イベントを計画的に進め、次回の施策改善にもつなげられます。
6. API連携で外部システムとつなげる
Shopify Plusにアップグレードしたら、APIを活用した外部システム連携も見直しましょう。
商品数やSKUが多いストア、複数のオンラインストアや実店舗を運営している企業、サプライチェーンが多拠点化している企業、海外販売を行っている企業では、Shopifyと外部システムを連携することで、業務全体を効率化できます。
連携先としては、以下のようなシステムやサービスが考えられます。
- 商品情報管理システム(PIM):商品名、説明文、画像、仕様などの商品情報を管理するシステム
- 統合基幹業務システム(ERP):会計、販売、在庫などの基幹業務をまとめて管理するシステム
- 在庫管理システム:商品がどこにいくつあるかを管理するシステム
- 受注管理システム(OMS):注文を受けてから出荷、配送、返品までを管理するシステム
- 顧客関係管理システム(CRM):顧客情報や営業活動を管理するシステム
- 3PL:物流業務を外部委託できるサービス
- 倉庫管理システム(WMS):倉庫内の入出庫や在庫を管理するシステム
- フルフィルメントサービス:商品の保管、梱包、発送などを代行するサービス
ShopifyのAPIを使うと、これらのシステムとShopifyをつなぎ、商品情報、在庫、注文、配送、顧客データなどを連携できます。たとえば、在庫数の自動更新、出荷状況の反映、購入履歴に応じたパーソナライゼーションなどが行えます。
Shopify Plusは、大量の商品情報や注文データを外部システムと連携するような大規模な運用にも対応しやすい設計になっています。通常の設定やアプリだけでは対応できない独自の業務フローがある場合は、開発者やShopifyパートナーと連携し、自社向けのカスタムアプリを構築することもできます。
7. 複数ストアの管理体制を整える
Shopify Plusにアップグレードしたら、ストア運営の裏側にある管理体制も整えましょう。
Shopify Plusのストアは、デフォルトで「組織」の一部になります。組織とは、複数のストア、ユーザー、請求情報などをまとめて管理するための単位です。組織の管理画面では、複数ストアの状況、ユーザー権限、請求、分析などをまとめて確認できます。
たとえば、国内向けストア、海外向けストア、B2B専用ストア、テスト用ストアなどを運用している場合、ストアごとに個別に確認していると管理が複雑になります。組織の管理画面を使うと、どのストアがあり、誰がどのストアにアクセスでき、請求や売り上げの状況がどうなっているかを一か所で把握できます。
Shopify Plusにアップグレード後は、まず以下の項目を確認しましょう。
- 組織内にあるストアと、それぞれの役割
- 各ストアにアクセスできるユーザー
- ユーザーごとに付与されている権限
- 組織内のストアに関する請求情報
- 複数ストアの売り上げや主要指標
特に確認したいのは、ユーザー権限です。チームが大きくなるほど、誰がどのストアに入れるのか、商品管理、注文管理、請求、分析などのどこまで操作できるのかを整理する必要があります。
Shopify Plusプランのストアと組織では、ユーザーアカウントは組織レベルで管理されます。必要なメンバーに必要なストアの権限だけを付与することで、誤操作や情報漏えいのリスクを減らし、チームで安全に運用できます。複数ブランドや複数地域でストアを展開する場合は、Shopify Plusにアップグレード後、組織の管理画面を確認し、ストア、ユーザー、請求、分析を管理する体制を整えておきましょう。
8. サポートやパートナーを活用する
Shopify Plusにアップグレードしたら、サポートや外部パートナーも積極的に活用しましょう。
Shopify Plusは機能が豊富なため、すべてを社内だけで進めようとすると、設定や運用に時間がかかることがあります。Shopify Plusでは、24時間対応の優先サポートを利用できるため、セールの準備、チェックアウトやアプリの設定、技術的なトラブルなどで不明点がある場合は、管理画面からサポートに相談しましょう。
サイトデザインの改善、カスタム開発、外部システム連携、マーケティング施策の設計など、専門的な作業が必要な場合は、Shopifyパートナーの活用も検討しましょう。サポートに相談する内容と、パートナーに依頼する内容を分けて考えると、課題に合わせた進め方を選びやすくなります。情報収集の場としては、他のユーザーや専門家の知見を参考にできるShopifyコミュニティも役立ちます。
Shopify Plusへのアップグレード後は、サポート、コミュニティ、パートナーをうまく使い分けながら、自社だけでは対応しにくい部分を補い、継続的に改善できる体制を整えていきましょう。

Shopify Plusを活用するメリット
- 取引手数料を抑えた運用:Shopify Plusでは、Shopifyのプラン内でもっとも安い取引手数料が設定されています。
- 追加ストアの利用:Shopify Plusの月額料金には、メインストアと同じブランドで利用できる追加ストア9つ分の料金が含まれています。海外向けストアやブランド別ストアの展開に役立ちます。
- 専門的なサポート:複雑なストア管理や技術的な相談など、運用上の課題についてサポートに相談できます。
- 業界最速クラスの読み込みスピード:外部システムと大量のデータを同時に高速でやり取りする能力(APIコール制限)が、標準プランと比べて最大5倍あります。
まとめ
Shopify Plusは機能が豊富なので、最初からすべてを使いこなそうとする必要はありません。まずは、チェックアウト、B2B販売、顧客セグメント、販売イベントの自動化、外部システム連携、複数ストア管理などから始めましょう
Shopify Plusは、マルチチャネル販売や越境EC、API連携、組織機能など、事業の成長に役立つ機能を幅広く利用できます。販売チャネル、顧客層、商品数、社内体制が変化しても、必要な機能を組み合わせながら運用を見直せる点が大きな強みです。必要に応じてShopifyヘルプセンター、Shopify Plusのサポート、Shopifyパートナーも活用しながら、自社に合った形で改善を続けていきましょう。




