人手不足への対応や会計業務の効率化を目的として、セルフレジを導入する店舗が増えています。ウェブスペース株式会社の調査では、有人レジとセルフレジの両方がある場合、20代から60代の回答者の63.5%が「必ずセルフレジを選ぶ」または「どちらかというとセルフレジを選ぶことが多い」と回答しました 。この結果からも、消費者におけるセルフチェックアウトへのニーズの高さがうかがえます。
セルフレジを導入しチェックアウトを簡略化できれば、顧客体験の改善や顧客満足度の向上につながります。一方、セルフレジには複数の種類があり、店舗の業態や導入費用を踏まえて選ぶ必要があるほか、サポートスタッフの配置や不正対策などにも対応しなければなりません。
本記事では、セルフレジの仕組みや種類、メリットやデメリット、導入コストの目安を解説します。国内企業の導入事例やシステム導入時のポイントも紹介するので、ぜひ参考にしてください。

セルフレジとは
セルフレジとは、商品の登録や支払いなど、従来は店舗スタッフが担当していた会計作業の一部またはすべてを、顧客自身が行うレジシステムです。「セルフチェックアウト」や「セルフサービスレジ」とも呼ばれ、スーパーやコンビニ、ドラッグストア、アパレルショップ、飲食店などで導入されています。
セルフレジには複数の種類があり、商品登録から支払いまでを顧客が行うタイプや、商品の登録はスタッフが行い、支払いは顧客が行うタイプなどがあります。
全国スーパーマーケット協会の「2026年版スーパーマーケット白書」によると、2025年の総レジ台数に占めるセルフレジの設置割合は61.6%でした。2020年の37.5%から大きく上昇しており、人手不足への対応や会計の業務効率化などを背景に普及が進んでいます。

セルフレジの仕組み
セルフレジは、商品を読み取るスキャナーや会計操作を行うタッチパネル、決済端末などをPOSシステムと連携させて会計を処理します。商品のバーコードを読み取ると、登録されている商品名や価格が画面に表示され、すべての商品を登録した後に支払いへ進みます。
一般的なセルフレジで会計する流れは、以下のとおりです。
- タッチパネルを操作して会計を開始する
- 商品のバーコードをスキャナーで読み取る
- バーコードがない商品は、画面から選択して個数や重さを登録する
- 登録した商品を袋詰めスペースに置く
- 現金やクレジットカード、電子マネー、二次元コードを利用したスマホ決済など、希望の支払い方法を選択して会計する
一部のセルフレジでは袋詰めスペースに重量センサーが設置されており、スキャン後に袋詰めされた商品の重量が、登録された商品の想定重量と合致しているかを確認できます。カメラや画像認識技術を使って、商品の読み取り漏れなどを検知するシステムが搭載されている場合もあります。

セルフレジの種類
フルセルフレジ
フルセルフレジは、商品の登録から支払いまで、すべての会計作業を顧客が行う方式です。顧客は商品のバーコードを読み取り、現金やクレジットカード、電子マネー、スマホ決済などから支払い方法を選択します。
スーパーやコンビニ、ドラッグストアなどで広く導入されており、複数台を少人数のスタッフで管理できる点が特徴です。ただし、操作に不慣れな顧客への案内や、エラー、年齢確認などに対応するスタッフが必要になる場合があります。
セミセルフレジ
セミセルフレジは、商品の登録を店舗スタッフが行い、支払いを顧客が行う方式です。商品を登録する登録機と、顧客が支払う精算機が分かれているケースが一般的です。
登録機1台に対して複数の精算機を設置すれば、顧客が支払っている間に、スタッフが次の顧客の商品を登録できます。顧客が商品のバーコードを読み取る必要がなく、操作に不慣れな人も利用しやすいため、幅広い年代が来店するスーパーなどに適しています。
券売機型セルフレジ
券売機型セルフレジは、顧客が画面上で商品やメニューを選び、そのまま支払いまで行う方式です。バーコードによる商品登録を必要とせず、主に飲食店やアミューズメント施設などで利用されています。
飲食店では、確定した注文内容を厨房へ送信することで、注文受付から調理、商品提供までの流れを効率化できます。店舗スタッフの注文受付業務も軽減できるうえ、注文の聞き間違いや入力ミスを防ぎやすくなります。

セルフレジのメリット
顧客側のメリット
- 会計待ち時間の短縮につながる:複数のセルフレジを設置することで、混雑時にも複数の顧客が同時に会計できます。特に購入点数が少ない場合は、短時間で会計を済ませやすくなり、スムーズな購買体験につながります。
- 支払い方法を選びやすい:複数の決済手段に対応するセルフレジでは、現金やクレジットカード、電子マネー、スマホ決済などから希望する方法を選べます。顧客の利便性向上につながります。
- プライバシーを確保しやすい:フルセルフレジでは、店舗スタッフに商品を提示せずに会計できます。購入商品を店舗スタッフに見られることに抵抗を感じる顧客にとって、心理的な負担を抑えられる点がメリットです。
店舗側のメリット
- レジ業務の人員削減につながる:1人のスタッフが複数台のフルセルフレジを管理できるため、レジごとに担当者を配置する必要がなくなります。人手不足に対応できるほか、人件費の適正化にもつながります。
- スタッフをほかの業務に配置できる:レジ業務を担当していたスタッフを、接客や品出し、在庫管理などへ配置できます。会計以外の業務に人員を振り分けることで、店舗全体の業務効率を高められます。
- 会計ミスやレジ締めの負担を軽減できる:自動釣銭機を備えたセルフレジでは、スタッフが現金を受け渡す必要がなくなり、釣り銭の間違いを防ぎやすくなります。また、POSシステムと連携することで売上情報が自動的に記録され、売上確認やレジ締めも効率化できます。

セルフレジのデメリット
顧客側のデメリット
- 操作に戸惑う可能性がある:機器の操作に慣れていない顧客にとって、商品の登録や支払い方法の選択、クーポンの適用などの操作が難しい場合があります。
- 一部の顧客には利用しにくい場合がある:画面の見やすさや操作画面の高さによっては、高齢者や障害のある顧客にとって操作しにくい可能性があります。
- エラーで会計に時間がかかる場合がある:バーコードの読み取りや重量の確認、決済などでエラーが発生すると、店舗スタッフが対応するまで会計を進められないことがあります。
- 店舗スタッフとの交流が減る:セルフレジでは、会計時に店舗スタッフと話す機会が少なくなります。接客や会話を重視する顧客にとっては、無機質な購買体験になってしまう可能性があります。
店舗側のデメリット
- 万引きや商品の登録漏れが発生する可能性がある:顧客自身が商品を登録するため、意図的な不正だけでなく、バーコードの読み忘れや、画面上で別の商品を選択するミスも発生する可能性があります。
- 導入と運用にコストがかかる:セルフレジ本体の購入費用に加え、設置工事やPOSシステムとの連携、システムの保守、機器の修理などにも費用がかかります。
- サポートスタッフが必要になる:操作案内やエラーへの対応に加え、酒類などの年齢確認や不正防止にもスタッフの対応が必要です。セルフレジを導入しても、店舗を完全に無人化できるとは限らない点には注意が必要です。

セルフレジの導入コストの目安
セルフレジの導入コストは、種類や搭載する機能、対応する決済方法によって大きく異なります。一般的な目安は、以下のとおりです。
- フルセルフレジ:1台あたり100~300万円程度
- セミセルフレジ:登録機と精算機を合わせて100~400万円程度
- 券売機型セルフレジ:1台あたり50万円から。現金対応や多機能な機種では、200万円程度になる場合もある
現金への対応や自動釣銭機、重量センサー、不正を検知するカメラなど、搭載する機能が増えるほど導入費用も高くなる傾向があります。一方、キャッシュレス決済に限定した機種や、タブレット端末とクラウド型POSシステムを利用する機種では、初期費用を抑えられる場合があります。
導入時には、本体価格だけでなく、次のような費用も確認しましょう。
- 機器の設置工事費
- POSシステムや在庫管理システムとの連携費
- ソフトウェアの初期設定費
- 月額のシステム利用料
- キャッシュレス決済の手数料
- 保守や修理にかかる費用
- インターネット環境や電源設備の整備費
セルフレジの導入事例
イオンリテール
スーパーやショッピングセンターを展開するイオンリテールでは、顧客が貸出用の専用端末や自身のスマートフォンを使い、売り場で商品のバーコードを読み取る「レジゴー」を導入しています。商品をカゴに入れる際に登録するため、会計時に商品を一つずつ読み取る必要がありません。買い物が終わったら、専用レジまたは有人レジで支払いを行います。
イオンリテールのニュースリリースによると、イオングループにおけるレジゴーの導入店舗は、2024年7月時点で315店舗に達しています。商品の登録を買い物中に済ませることで、会計時の操作やレジ待ちを軽減する仕組みを構築しています。
ファーストリテイリング
アパレルブランドのユニクロを展開するファーストリテイリングでは、RFIDタグ(電波により非接触でタグ情報を読み取るシステム)を活用したセルフレジを導入しています。バーコードを商品ごとに読み取る一般的なセルフレジとは異なり、商品を専用ボックスに入れるだけで一括で読み取れる点が特徴です。
RFIDとセルフレジの導入により、顧客の利便性向上だけでなく、店舗業務の効率化も実現しており、従業員一人あたりの生産性向上につなげています。
ローソン
コンビニエンスストアを展開するローソンでは、一部の店舗や時間帯でセルフレジを運用しています。顧客が商品のバーコードを読み取って、支払い方法を選び、決済まで行う仕組みです。
対象店舗では、顧客がローソンアプリを使って商品を読み取り、スマートフォン上で決済する「ローソンスマホレジ」も利用できます。また、東京都豊島区に開設された「グリーンローソン」では、セルフレジを中心に運用し、操作に困った顧客を店舗スタッフやアバターが支援する仕組みが採用されました。セルフサービスと有人対応を組み合わせた優れた事例です。

セルフレジを導入する際のポイント5選
1. 店舗の業態と商品に合った種類を選ぶ
セルフレジを導入する際は、業態や取り扱う商品に対応した機種を選ぶ必要があります。スーパーやコンビニではフルセルフレジやセミセルフレジ、飲食店では注文と支払いを受け付けられる券売機型が有効です。量り売りやバーコードのない商品を扱う場合は、重量の計測や画面上での商品選択に対応した機種が必要になります。酒類などを販売する店舗では、年齢確認の方法も決めておきましょう。
2. 購入点数と会計件数から設置台数を決める
ピーク時の会計件数や平均購入点数を把握することで、適切な種類と台数を判断できます。購入点数が少ない店舗では、顧客が商品を登録するフルセルフレジを検討できるでしょう。一方、まとめ買いが多い店舗の場合、商品登録はスタッフが担当し、支払いは顧客が行うセミセルフレジの方が、会計を円滑に進められる可能性があります。
導入台数を決める際は、本体の購入費用だけでなく、設置工事やシステム連携、保守、修理などにかかる費用も含めて予算を検討しましょう。初期費用を抑えたい場合は、購入に加えて、レンタルやリース、サブスクリプション型サービスも比較します。利用できる補助金や助成金がないか確認することも大切です。
3. 顧客層に応じた会計方法を用意する
スーパーやコンビニなど、さまざまな顧客層が訪れる業態では、セルフレジに加えて有人レジを残すことで、セルフレジに不慣れな顧客にも対応できます。
また、セルフレジを選ぶ際は、画面の見やすさや操作のしやすさに加え、音声案内機能の有無や操作部分の高さなど、アクセシビリティにも配慮しましょう。現金やクレジットカード、電子マネー、スマホ決済など、顧客がよく利用する支払い方法に対応しているかも重要なポイントです。
4. サポート体制と不正対策を整える
セルフレジの導入後も、操作案内やエラー、年齢確認に対応するスタッフが必要です。商品の読み取り忘れや選択間違いに備え、複数台を見渡せる位置にスタッフを配置します。高額商品や読み取りにくい商品を扱う店舗では、カメラや重量センサーの活用、定期的な見回りも検討しましょう。問題が発生した場合の対応手順をスタッフに事前に共有しておくことも重要です。
5. 設置場所と既存システムとの連携を確認する
機器を選ぶ前に、レジ本体や袋詰めスペース、待機列、スタッフの移動場所を確保できるか確認します。顧客が移動しやすい動線を整備することも重要です。
また、POSシステムや在庫管理システム、ポイント制度と連携できない場合、管理作業が増える可能性があります。機器を検討する際は、必要なシステムと連携できるかを事前に確認しましょう。
まとめ
セルフレジの導入により、会計待ち時間の短縮やレジ業務の効率化、スタッフの業務負担軽減が期待できます。導入する際は、機器の価格に加えて、店舗の業態や顧客層、購入点数、支払い方法、設置スペースなどを踏まえて、適切な種類と台数を選びましょう。カスタマーサポートや不正対策を整備しておくことも重要です。
導入後は、利用状況や会計待ち時間を検証しながら運用を見直すことで、店舗と顧客の双方にとって利用しやすい会計環境を整えられます。
セルフレジに関するよくある質問
フルセルフレジとセミセルフレジの違いは?
フルセルフレジでは、商品の登録から支払いまでを顧客が行います。一方、セミセルフレジの場合、商品登録はスタッフが担当し、支払いは顧客が行います。フルセルフレジは省人化に、セミセルフレジは会計の効率化や操作に不慣れな顧客への対応に適しています。
セルフレジは現金払いにも対応している?
はい、一部の機種は現金払いに対応しています。ただし、すべてのセルフレジが現金払いに対応しているわけではなく、キャッシュレス決済に限定した機種もあるため、顧客が利用する支払い方法を踏まえて機種を選ぶことが重要です。
セルフレジで万引きや商品の登録漏れを防ぐ方法は?
カメラや重量センサーを活用して、商品の読み取り忘れや不審な操作を検知する方法があります。また、複数台を見渡せる位置にスタッフを配置し、定期的に見回ることも有効です。機器による対策とスタッフによる確認を組み合わせましょう。




