エネルギーや原材料の価格高騰を背景に、調達コストの増加が企業にとって大きな課題となっています。また、業務の煩雑化やサプライヤーの管理など、調達業務にはさまざまな課題があります。
調達業務は、必要な商品やサービスを確保するだけでなく、原価コストを抑え、企業の収益を高めるためにも重要な業務です。サプライヤーの選定や契約条件の交渉などを適切に行うことで、コストを抑えながら必要な資材を安定して確保できます。
この記事では、主に買い手側の視点から、調達の概要や購買との違い、種類、重要性を解説します。調達業務で重視すべきポイントや課題についても説明しているので、ぜひ参考にしてください。

調達とは
調達とは、企業がサプライヤーなどの第三者と取引条件を交渉して、商品やサービス、原材料などを仕入れる一連のプロセスを指します。購入だけでなくリースやレンタルで必要物資を確保することも調達に含まれるほか、調達業務ではサプライヤーの選定、価格や契約条件の交渉なども行います。
調達と購買の違い
調達と購買の違いは、業務の範囲と役割です。調達では、必要な資材や原材料、サービスの仕入れに加えて、サプライヤーの選定や契約交渉など、何をどこから、どのような条件で仕入れるのかという方針も検討します。一方で購買は、必要な資材や原材料、サービスの購入を指し、発注や納品、検収、支払いなどの取引実務を担当します。実際には、調達と購買を厳密に区別せず、同じ意味で使われるケースも少なくありません。

調達の種類
調達には、直接調達、間接調達、サービス調達の3種類があります。それぞれの特徴は、以下のとおりです。
- 直接調達:原材料や部品など、製品の生産に直接使用される資材(直接材)を調達することを指します。調達部門が中心となってサプライヤーとの取引を行います。
- 間接調達:企業の最終製品や利益に直接関わらない資材(間接材)を調達することを指します。オフィス用品や備品など、事業を円滑に運営するために必要なものが該当します。スモールビジネスでは総務担当者などが発注や管理を行う一方、エンタープライズ企業では施設管理会社などに業務を委託する場合もあります。
- サービス調達:企業が事業運営に必要なサービスを検討し、外部から調達することを指します。法務や業務委託、警備など、事業を円滑に運営するために必要なさまざまなサービスが対象となります。

調達の重要性
調達は、「企業の収益」と「製品の品質」の2つの面で、事業運営に大きな影響を与える重要な役割を担っています。
- 企業の収益に影響する:調達コストが高くなると、製品価格の上昇や利益の減少につながる可能性があります。また、必要な資材や商品、サービスを必要な時期に調達できなければ、生産遅延や在庫不足が発生し、販売機会を失うことになりかねません。特にECでは在庫切れになると、顧客が他社に流れてしまう可能性があります。量や価格、時期を考慮して適切に調達することで、仕入れコストを抑えながら十分な数量の製品を提供でき、売上や利益の向上につながります。
- 製品の品質を左右する:利用するサプライヤーや調達する資材は、製品やサービスの品質に大きな影響を与えます。品質基準を満たすサプライヤーや資材を選定することで、顧客に満足してもらえる製品やサービスを提供できます。自社ブランドや製品への評判にも関わるほか、品質不良による返品・交換や法的リスクの軽減にもつながります。

調達で重視すべきポイント
- 適切なサプライヤーを選定する:候補となるサプライヤーの調査と評価を行い、品質や価格などを比較したうえで、自社に適したサプライヤーを選定します。納品スピードや過去の取引実績、財務状況などを総合的に評価することが重要です。
- 適切な数量を確保する:サプライヤーと契約する際は、価格や品質、納期などに加えて、資材を過不足なく供給できる体制が整っているかも重要なポイントです。例えば自社製品の需要が急激に増減した場合、資材の発注数を柔軟に変更してもらえるか、事前に確認しておきましょう。
- パフォーマンスを監視する:サプライヤーが、調達物の品質や納期など契約内容を満たしているかを継続的に確認し、問題が発生した場合は迅速に対応します。また、納期遅延を見越して納期を設定するほか、代替サプライヤーを準備しておくことも重要です。
- サプライヤーと長期的な関係を構築する:定期的に意見交換の場を設け、情報共有を行うことで、相互理解が深まります。また、課題を共有することで、品質の高い製品の生産につながります。

調達の課題
- 調達業務が複雑になりやすい:調達品目や調達先が増えると業務量も増え、作業ミスや遅延につながりやすくなります。購買管理システムやRPA(事務作業を自動化できるソフトウェアロボット技術)を活用し、定型業務や購買プロセスの効率化を図ることが重要です。
- コストを最適化しにくい:複数の拠点で調達を行う場合、拠点ごとに仕入れ先や価格が異なることがあり、非効率なコストで調達している可能性があります。全拠点の仕入れを集約することで、より有利な条件での調達が可能になることがあります。
- 知見が属人化しやすい:調達に関する知識やノウハウが特定の担当者に偏ると、離職時の引き継ぎが難しくなり、業務が属人化する可能性があります。定期的に研修などを実施するほか、知識や情報を一元管理できる仕組みを整備しておくことが必要です。
- 調達業務の全体像を把握しにくい:調達業務が分散していると、業務全体を把握しにくくなり、部署間の連携不足や、コストやリードタイムの最適化を妨げる可能性があります。購買管理システムなどを活用することで、調達に関するデータや取引先とのやり取りなどをまとめて確認でき、調達状況を把握しやすくなります。
まとめ
エネルギーや原材料の価格は、為替変動や国際情勢、自然災害など、さまざまな要因の影響を受けて変動します。こうした価格高騰は調達コストの増加につながり、限られた資金や人員で事業を運営する中小企業にとって大きな負担となる可能性があります。
そのため、必要な資材を安定して確保しながら、調達コストをいかに抑えるかが重要です。複数のサプライヤーから相見積もりを取ってより有利な価格条件を引き出したり、複数拠点で調達している場合は発注を集約して大量発注による値引きを交渉したりすることで、コスト削減につなげられます。
また、調達の業務効率化を進めることで、担当者の業務負担を軽減し、限られた人員をより重要な業務に充てることも可能です。戦略的に調達業務を実施し、収益や競争力を維持しながら、安定した事業運営につなげましょう。
調達に関するよくある質問
調達とは?
調達とは、入札や交渉などを通じて、外部から資材や商品、サービスを確保する一連のプロセスを指します。サプライヤーの選定や契約交渉、支払い条件の設定などの業務が含まれます。
調達と購買の違いは?
調達には、必要な資材の仕入れに加えて、サプライヤーの選定や契約交渉など、幅広い業務が含まれます。一方、購買は必要な資材や原材料、サービスの購入を指し、発注や納品、検収、支払いなどの取引実務を担当します。
調達業務を効率化するには?
購買管理システムやRPAを導入することで、定型業務の自動化や調達プロセスの効率化が図れます。また、Shopify(ショッピファイ)を利用している事業者の場合、注文書の作成や管理機能、在庫管理機能を利用できます。Shopify Flow(ショッピファイフロー)も活用することで、発注関連の確認作業や在庫管理業務を効率化し、作業ミスや業務負担を軽減できます。




