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タイトル: オンライン決済の完全ガイド|種類・手数料・主要サービス・選び方を徹底解説
メタディスクリプション: ECサイトのオンライン決済の種類(クレカ・コンビニ・キャリア・QR・後払い・分割)と手数料、決済代行サービスの比較、選び方の判断軸、導入ステップとセキュリティ要件まで網羅的に解説します。
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オンライン決済の完全ガイド|種類・手数料・主要サービス・選び方を徹底解説
はじめに
「ECサイトに導入すべきオンライン決済の種類が多すぎて、どれを揃えればよいか分からない」
「クレジットカード以外にコンビニ決済・QRコード決済・後払いまで対応すべきか判断がつかない」
「決済代行サービスの選び方や手数料の相場感を知りたい」
ECサイトの立ち上げやリニューアルで必ず直面するのが、オンライン決済の設計です。
決済手段の品揃えが不足していると、購入直前のユーザーが離脱し売上機会を失います。
一方で、片っ端から決済手段を増やせばよいわけではなく、決済代行サービスの選定、手数料の妥当性、セキュリティ要件、運用負荷まで含めた総合判断が必要になります。
本記事では、オンライン決済の基本概念、主要な決済手段の種類と特徴、決済代行サービスの選び方、自社ECに適した決済設計のフレーム、導入ステップ、セキュリティ要件、失敗パターンと回避策まで解説していきます。
目次
-
オンライン決済とは
-
主要なオンライン決済の6つの種類と特徴
-
決済手段別のメリット・デメリット・手数料相場
-
オンライン決済の仕組みと決済代行の役割
-
主要なオンライン決済サービスの比較
-
自社ECに適したオンライン決済の選び方
-
オンライン決済導入の実践ステップ
-
オンライン決済のセキュリティ要件
-
オンライン決済導入で陥りがちな失敗パターン
-
まとめ
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オンライン決済とは
オンライン決済とは、インターネット上で商品・サービスを購入する際に行われる代金支払いの仕組み全般を指します。
「Web決済」「電子決済」「キャッシュレス決済」と呼ばれることもあり、ECサイトに限らず、サブスクリプションサービス、デジタルコンテンツの販売、予約サービスなど幅広い分野で利用されています。
オンライン決済の基本構造
オンライン決済では、購入者・販売事業者(EC事業者)・決済代行会社・カード会社等の決済ネットワーク・金融機関の4者が関わります。
購入者が決済画面でクレジットカード番号やコンビニ決済の選択を行うと、その情報は決済代行会社を経由してカード会社や金融機関に送られ、与信・売上処理が行われた上で、EC事業者の口座に売上金が入金されるという流れです。
EC事業者から見ると、決済代行会社と契約することで、複数のカードブランド・複数の決済手段を一括で扱える点が大きなメリットになります。
キャッシュレス決済市場の現在地
経済産業省『キャッシュレスの将来像に関する検討会』の集計によれば、2024年の日本のキャッシュレス決済比率は42.8%、決済金額は141.0兆円に達しています(出典:経済産業省「2024年のキャッシュレス決済比率を算出しました」https://www.meti.go.jp/press/2024/03/20250331005/20250331005.html2025年3月)。
政府は「2025年に4割程度」のキャッシュレス比率目標を掲げており、すでにその水準を超えました。
次の目標として「将来的に世界最高水準の80%」を目指す方針が示されており、今後もキャッシュレス決済の拡大が見込まれます。
EC領域ではキャッシュレス比率がさらに高く、購入手段の中心はクレジットカードやQRコード決済、後払い決済などの非現金手段になっています。
EC市場とオンライン決済の関係
経済産業省『電子商取引に関する市場調査』(2024年)によれば、日本のBtoC-EC市場規模は2024年時点で物販系15.22兆円、EC化率は9.78%。市場は依然として年率数%で拡大しています。
EC市場が拡大するにつれ、購入者の決済手段も多様化が進んでいます。
主要なクレジットカードに加え、コンビニ決済、キャリア決済、QR決済、後払い決済、分割払いなど、複数の決済手段を組み合わせて提供することが、EC事業者にとっての標準的な対応になりつつあります。
主要なオンライン決済の6つの種類と特徴
ECサイトで利用される主要なオンライン決済手段は、大きく6種類に整理できます。
それぞれの利用率・特性を押さえると、自社ECで揃えるべき決済手段の優先順位が見えてきます。
クレジットカード決済
クレジットカード決済は、Visa・Mastercard・JCB・American Express・Diners Clubといった国際ブランドのカードを使った決済手段です。
国内ECの決済手段としてもっとも普及しており、購入者の利便性・即時性が高い点が特徴になります。
ECにおけるクレジットカードの利用シェアは、各種調査で6割前後を占めるとされており、EC事業者にとって導入は実質的な必須条件です。
3Dセキュア2.0(EMV 3-Dセキュア)への対応も、不正利用対策として標準化が進んでいます。
コンビニ決済
コンビニ決済は、ECサイト上で注文を確定した後、コンビニエンスストア店頭で代金を支払う決済手段です。
セブン-イレブン、ローソン、ファミリーマートなど主要チェーンが対応しており、クレジットカードを持たない若年層や、カード情報をネットで入力したくない購入者の受け皿として機能します。
支払期限内に入金が確認できないと注文がキャンセルされるため、購入完了率はクレジットカード決済より低めになる傾向があります。
キャリア決済
キャリア決済は、NTTドコモ・KDDI(au)・ソフトバンクといった携帯電話会社の月額利用料と合算して支払う決済手段です。
「d払い」「auかんたん決済」「ソフトバンクまとめて支払い」などの名称で提供されています。
スマートフォンユーザーが住所・カード番号を入力せずに購入できるため、特にスマホ完結型のECやデジタルコンテンツ販売、サブスクリプションサービスで採用されています。
QRコード決済
QRコード決済は、PayPay、楽天ペイ、d払い、au PAY、メルペイ、LINE Payなど、スマートフォンアプリのQRコード・バーコードを使った決済手段です。
実店舗のキャッシュレス決済として急拡大した後、EC領域でも普及が進みました。アプリの残高やクレジットカードを連携させて決済できるため、ユーザーが追加でカード情報を入力する手間がなくなる点が利点です。
特定の決済アプリのキャンペーン・ポイント還元目当てのユーザーを取り込めるため、新規顧客獲得施策と組み合わせて活用されるケースもあります。
後払い決済
後払い決済は、購入時にカード情報や銀行口座情報を入力せず、商品到着後にコンビニ・銀行振込などで代金を支払う決済手段です。
「NP後払い」「GMO後払い」「Paidy」「atone」などのサービスが代表的です。
カード情報の入力に抵抗のあるユーザー、商品を確認してから支払いたいユーザーの受け皿になります。
化粧品・健康食品・アパレルなど、商品の中身を確認してから支払いたいというニーズがある商材で、効果が出やすい傾向が見られます。
分割払い・BNPL(Buy Now, Pay Later)
分割払いは、クレジットカードや専用サービスを通じて支払いを複数回に分ける決済手段です。
近年は「Buy Now, Pay Later(BNPL)」と呼ばれる、与信審査の手軽さを売りにした分割払いサービスも普及しています。
代表的なサービスとしては、Paidyの「3・6・12回あと払い」、メルペイのスマート払い、ショップが提供する分割決済オプションなどが挙げられます。
家電・高単価アパレル・家具・教育サービスなど、単価が高く購入ハードルが高い商材で導入効果が大きい決済手段です。
決済手段別のメリット・デメリット・手数料相場
決済手段ごとの特徴を、メリット・デメリット・手数料相場で整理します。導入優先度を判断する際の見取り図としてご活用ください。
決済手段別の早見表
|
決済手段 |
EC普及度 |
手数料相場 |
1件あたり手数料 |
主な利点 |
|---|---|---|---|---|
|
クレジットカード |
★★★★★ |
3〜5% |
- |
利用率最大、即時決済 |
|
コンビニ決済 |
★★★★☆ |
0〜数% |
100〜400円 |
カード非保有層に対応 |
|
キャリア決済 |
★★★☆☆ |
5〜10% |
- |
スマホ完結、入力負荷小 |
|
QRコード決済 |
★★★★☆ |
2.5〜4% |
- |
若年層・キャンペーン取込 |
|
後払い決済 |
★★★☆☆ |
3〜6% |
- |
カード抵抗層に対応 |
|
分割払い・BNPL |
★★★☆☆ |
3〜7% |
- |
高単価商材の購入後押し |
※ 上記は一般的な相場感です。実際の手数料は決済代行会社・契約条件・取扱高により変動します。詳細は各サービスの公式情報をご確認ください。
クレジットカード決済のメリット・デメリット
メリット
-
EC利用率が最大:購入者が決済手段として選ぶ割合が高く、導入しないと機会損失が大きい
-
即時決済:注文と同時に与信・売上処理が行われ、入金サイクルが安定する
-
高単価決済に対応:高額商品でも一括・分割で支払える
-
海外顧客にも対応:国際ブランドであれば越境ECでも利用可能
デメリット
-
決済手数料が発生:取扱高に応じた3〜5%の決済手数料がコストになる
-
不正利用リスク:カード情報の窃取・不正使用への対策(3Dセキュア対応等)が必須
-
チャージバック対応:不正利用判明時の売上取消・返金対応の運用負荷
コンビニ決済のメリット・デメリット
メリット
-
カード非保有層に対応:若年層・カード入力に抵抗のあるユーザーを取り込める
-
手数料が比較的低い:1件あたり数百円の定額制が多く、低単価商品でも採用しやすい
デメリット
-
入金確認までタイムラグ:注文確定から入金確認まで数日かかるケースが多い
-
支払期限切れリスク:支払期限を過ぎてキャンセルになる「未払いキャンセル」が一定発生する
-
発送タイミングの調整:入金確認後の発送フローを設計する必要がある
キャリア決済のメリット・デメリット
メリット
-
スマホ完結で入力負荷が小さい:購入者は携帯電話の暗証番号入力等のみで決済が完了
-
若年層・サブスク向け:デジタルコンテンツ販売、サブスクリプションサービスで採用例が多い
デメリット
-
決済手数料が高め:5〜10%とクレジットカードよりやや高い水準
-
キャリア各社との契約・利用上限:キャリアごとの月額利用上限があり、高単価商品には不向き
QRコード決済のメリット・デメリット
メリット
-
若年層・新規層を取り込みやすい:スマホアプリ利用者をECに誘導できる
-
キャンペーン連動:決済事業者のポイント還元キャンペーンに乗ることで購入促進が期待できる
-
入力負荷が小さい:アプリ連携により住所・カード情報の再入力を回避できる
デメリット
-
複数サービスへの対応:PayPay、楽天ペイ、d払い、au PAY等、サービスごとの個別対応が必要
-
手数料水準:2.5〜4%程度と決済手段間で中程度
後払い決済のメリット・デメリット
メリット
-
カード抵抗層を取り込める:カード情報の入力を避けたいユーザーの受け皿になる
-
「商品確認してから支払い」ニーズに対応:化粧品・健康食品・アパレルで効果が出やすい
-
CVRの底上げ:購入時のハードルが下がり、購入完了率が上がる傾向
デメリット
-
入金サイクルが長め:商品出荷後の支払いとなるため、キャッシュフロー設計に影響
-
未払いリスク:後払いサービス側で与信・保証が入る場合と、自社負担の場合がある(契約条件次第)
-
手数料水準:3〜6%とクレジットカードと同水準もしくはやや高め
分割払い・BNPLのメリット・デメリット
メリット
-
高単価商材の購入を後押し:一括では躊躇する金額帯でも分割なら購入される
-
若年層・与信枠に制約のある層を取り込める:クレジットカードの分割払いとは別の選択肢
-
客単価向上:分割払いの選択肢があることで、上位商品が選ばれるケースが見られる
デメリット
-
手数料水準:3〜7%と決済手段間で高めの水準
-
与信・回収運用:BNPL事業者との連携・回収フローの設計が必要
-
対象商材の制限:サービスにより対象商材・上限金額の制約がある
オンライン決済の仕組みと決済代行の役割
オンライン決済の裏側では、複数の事業者が連携して与信・売上・入金処理を行っています。EC事業者がこの仕組みを直接構築することはなく、決済代行会社を通じて一括で利用するのが標準的なパターンです。
オンライン決済の処理フロー
オンライン決済の基本フローは次のようになります。
-
購入者がEC画面で決済手段を選択:クレジットカード番号入力、QR決済アプリの選択など
-
決済情報が決済代行会社に送信:ECサイトから決済代行会社の決済システムに情報が連携される
-
決済代行会社がカード会社・金融機関と通信:与信枠の確認、本人認証、決済可否の判定
-
EC事業者に決済結果が返却:注文確定・発送可否の判断に使われる
-
後日、決済代行会社からEC事業者に売上金入金:契約サイクルに応じて入金される(月1〜2回が一般的)
決済代行会社の役割
EC事業者は通常、カード会社・キャリア各社・後払いサービスなどと個別に契約せず、決済代行会社と一本の契約を結ぶことで、複数の決済手段をまとめて利用します。
決済代行会社が担う主な役割は次の通りです。
-
複数決済手段の一括契約:クレジットカード、コンビニ、キャリア、QR、後払い等を1つの契約で導入
-
決済システムの提供:EC事業者は決済システムを自前で構築する必要がなく、API連携で組み込める
-
セキュリティ対策:PCI DSS準拠の決済基盤、3Dセキュア対応など
-
不正利用検知・対策:不正検知システムの提供、チャージバック対応の支援
-
入金管理・サポート:売上金の入金、購入者からの問い合わせ対応の支援
決済代行会社の主な収益構造
決済代行会社は、決済手段ごとの手数料を購入金額に対して受け取ります。
主な収益源は次の3つです。
-
決済手数料(料率):取扱高に対する3〜5%程度(クレジットカードの場合)
-
トランザクション費用(件数費用):1決済あたり数十円〜数百円の固定費
-
月額利用料・初期費用:固定費としての月額料金や初期設定費用
EC事業者は、これらの合計コストと、提供される決済手段の幅・サポート品質・システムの安定性を見て、決済代行会社を選定することになります。
主要なオンライン決済サービスの比較
国内ECで利用されている主要なオンライン決済サービスを、特徴・対応決済手段の幅・想定ユースケースで並列に整理します。
主要サービスのタイプ別整理
オンライン決済を提供するサービスは、大きく次のタイプに分けられます。
|
タイプ |
概要 |
代表例 |
|---|---|---|
|
総合型決済代行 |
複数の決済手段を一括で提供。EC全般に対応 |
GMOペイメントゲートウェイ、SBペイメントサービス、ソニーペイメントサービス、ペイジェント、ROBOT PAYMENT |
|
EC構築サービス標準決済 |
EC構築サービス側が提供する標準決済。導入が簡素 |
Shopify Payments、BASEかんたん決済、STORES決済 |
|
単独型決済サービス |
特定の決済手段(QR・後払い・分割)に特化 |
PayPay、楽天ペイ、Paidy、NP後払い、Square |
|
グローバル決済 |
海外向け・越境EC向けに強み |
Stripe、PayPal、Adyen |
総合型決済代行サービス
総合型決済代行は、クレジットカード・コンビニ・キャリア・QR・後払い等を1本の契約で提供するタイプです。
中規模以上のEC、複数決済手段を一括導入したい事業者に多く採用されています。
代表的なサービス例
- GMOペイメントゲートウェイ:取扱高・取扱店舗数の多い大手決済代行
- SBペイメントサービス:ソフトバンクグループの決済代行サービス
- ソニーペイメントサービス:ソニーグループの決済代行サービス
- ペイジェント:NTTデータと三菱UFJニコスの合弁による決済代行
- ROBOT PAYMENT:サブスクリプション・定期課金に強みを持つ決済代行
各社で提供する決済手段の幅、料率、サポート体制、API連携の利便性に差があります。詳細は各社公式サイトでの確認が必要です。
EC構築サービス標準決済
近年は、EC構築サービス側が標準の決済手段を組み込んで提供しているケースが増えています。
代表的なサービス例
- Shopify Payments:Shopifyが標準で提供する決済機能。クレジットカード、Apple Pay、Google Pay、Shop Pay等に対応
- BASEかんたん決済:BASEの標準決済機能
- STORES決済:STORESの標準決済機能
EC構築サービスの管理画面と一体化しているため、別途決済代行と契約する手間が不要で、管理画面の一元化、入金管理の簡素化といった利点があります。
Shopify Paymentsの特徴(公開情報ベース)
Shopifyの管理画面から有効化することで、追加の決済代行契約なしにクレジットカード決済等を導入できます。
あわせて「Shop Pay」というワンタッチ決済機能が提供されており、購入者の住所・カード情報を保存して次回以降の購入を高速化します。
加えて、外部の決済代行(GMO・SBペイメント・PayPay・Amazon Pay等)と組み合わせることも可能で、自社の決済戦略に応じて柔軟に決済手段を組み合わせられます。
詳細な料率・提供条件はShopify公式サイトでご確認ください。
単独型決済サービス
特定の決済手段に特化したサービスを、必要に応じて追加で組み合わせるパターンも一般的です。
代表的なサービス例
- PayPay(QR決済):QR決済利用者の取り込みに有効
- 楽天ペイ(クレカ・楽天ポイント決済):楽天経済圏のユーザー獲得
- Paidy(後払い・BNPL):カード非保有層・高単価商材の購入後押し
- NP後払い(後払い):未払いリスクをサービス側が保証する後払い
- Square(クレカ・実店舗併用):実店舗とECの両方で同一の決済基盤を使う事業者向け
グローバル決済サービス
海外顧客向け・越境ECで採用されることが多いサービスです。多通貨対応、世界各国のローカル決済手段への対応が特徴になります。
代表的なサービス例
- Stripe:開発者向けAPIが充実したグローバル決済プラットフォーム
- PayPal:海外取引で広く利用される電子決済サービス
- Adyen:エンタープライズ向けのグローバル決済プラットフォーム
越境ECに本格的に取り組む場合、これらのサービスを国内決済代行と組み合わせて使うケースが多く見られます。
自社ECに適したオンライン決済の選び方
決済手段の数や決済代行サービスの選択肢が多い分、自社にとっての最適解を導く判断軸が重要になります。事業フェーズ・顧客層・商材特性の3つの視点で考えます。
判断軸1:事業フェーズで考える
事業フェーズによって、揃えるべき決済手段の幅が変わります。
|
事業フェーズ |
推奨される決済手段の範囲 |
|---|---|
|
立ち上げ初期(月商〜100万円) |
クレジットカード + コンビニ決済の2種程度 |
|
成長期(月商100〜1,000万円) |
上記 + QRコード決済 + 後払い決済 |
|
拡大期(月商1,000万円〜) |
上記 + キャリア決済 + 分割払い・BNPL + 越境対応 |
立ち上げ初期は、決済手段を絞り込み、運用負荷とコストを抑えるのが定石です。成長フェーズで購入者のニーズに合わせて段階的に追加していく考え方が、運用の現実解になります。
判断軸2:顧客層で考える
ターゲット顧客層によって、優先すべき決済手段が変わります。
-
若年層(10〜20代)が中心:コンビニ決済、QRコード決済、キャリア決済の優先度が高い
-
20〜40代の働く世代が中心:クレジットカード決済を中心に、QRコード決済・後払いを追加
-
シニア層が中心:クレジットカード決済、コンビニ決済、代金引換の組み合わせ
-
海外顧客比率が高い:国際カードブランド対応、多通貨決済、PayPal等のグローバル決済
ターゲット顧客の決済習慣に合わない決済手段だけを揃えると、購入直前の離脱を招きやすくなります。
判断軸3:商材特性で考える
取り扱う商材によっても、推奨される決済設計が異なります。
-
低単価・日用品系:クレジットカード、QRコード決済、コンビニ決済を中心に
-
化粧品・健康食品:クレジットカードに加え、後払い決済の効果が出やすい
-
高単価アパレル・家電・家具:分割払い・BNPLが購入促進につながりやすい
-
デジタルコンテンツ・サブスク:キャリア決済、クレジットカードの自動継続課金が中心
-
越境EC:国際カードブランド、PayPal、現地ローカル決済手段の組み合わせ
商材の購入心理(即時購入か、検討時間が必要か、価格帯が高めか)を踏まえた決済設計が、CVR改善に直結します。
決済代行サービス選定の7つの判断軸
決済代行サービスを選定する際は、次の7軸で見比べると、サービス間の違いが整理しやすくなります。
軸1:対応決済手段の幅
クレジットカード、コンビニ、キャリア、QR、後払い、分割払い、海外対応など、自社で必要な決済手段を一括でカバーできるかを確認します。
軸2:料率・手数料体系
決済手数料(料率)、トランザクション費用、月額利用料、初期費用の組み合わせを試算します。月商規模を仮置きしたシミュレーションが有効です。
軸3:入金サイクル
売上計上から入金までのサイクル(月1回、月2回、週次等)を確認します。キャッシュフローへの影響が大きいポイントです。
軸4:システム連携・API
EC構築サービスとの連携実績、APIの利便性、開発工数の見込みを評価します。
軸5:セキュリティ対応
PCI DSS準拠、3Dセキュア2.0対応、不正検知システムの提供有無を確認します。
軸6:サポート体制
導入時サポート、運用時の問い合わせ対応、不正利用・チャージバック対応の支援範囲を見ます。
軸7:実績・安定性
取扱高、導入実績、システム稼働率(SLA)、決算公開情報での経営安定性を確認します。
オンライン決済導入の実践ステップ
オンライン決済の導入は、要件整理から本番運用まで6つのステップに分解できます。
ステップ1:自社の決済要件を整理(期間:1〜2週間)
最初に、自社のEC事業特性に基づく決済要件を言語化します。
-
想定顧客層(年代・性別・地域・海外比率)
-
商材の単価帯と購入心理
-
必要な決済手段の優先順位(Must・Should・Could)
-
月商規模の現状と3年後の目標
-
既存システム(カートシステム、基幹システム)との連携要件
-
入金サイクルへの希望条件
要件が曖昧なまま比較に入ると、その後の判断がブレやすくなります。
ステップ2:候補の決済代行・決済サービスをリストアップ(期間:1〜2週間)
要件をもとに、総合型決済代行・EC構築サービス標準決済・単独型決済サービスの3タイプから候補をピックアップします。各社の公式サイト、業界レポート、第三者レビューを参照します。
ステップ3:見積もり取得と料率比較(期間:2〜3週間)
候補3〜5社に対して、決済手段の組み合わせ・想定取扱高を伝えた上で見積もりを取得します。料率は取扱高ボリュームによる交渉余地が大きいため、複数社から並列に取得するのが定石です。
ステップ4:システム連携検証・PoC(期間:2〜4週間)
候補上位2〜3社に対して、API連携の検証、テスト環境での動作確認、管理画面の使い勝手の評価を行います。
確認したいポイント:
-
決済導入の工数見込み
-
テスト環境での決済処理の安定性
-
管理画面からの売上確認・返金処理の利便性
-
不正利用検知の動作
ステップ5:契約条件の精査と最終選定(期間:1〜2週間)
最終候補に対して、契約条件を精査します。
-
初期費用・月額費用・料率・トランザクション費用の内訳
-
入金サイクル・最低入金額
-
契約期間・解約条件
-
データの取り扱い(解約時のデータ取り出し可否)
-
SLA(稼働率保証)
-
サポート範囲(標準/オプション)
ステップ6:本番導入とテスト運用(期間:2〜6週間)
契約後、本番環境への組み込み、結合テスト、限定公開でのテスト運用を経て、本格運用に入ります。
公開後は、決済成功率、決済手段別のCVR、不正利用の検知件数、チャージバック発生率といった指標を継続的にモニタリングし、決済設計を改善していきます。
オンライン決済のセキュリティ要件
オンライン決済は、購入者のカード情報・個人情報という機微な情報を扱うため、セキュリティ要件への対応が必須となります。法令・業界基準の両面で押さえるべき要点を整理します。
PCI DSS準拠
PCI DSS(Payment Card Industry Data Security Standard)は、カード会員データを取り扱う事業者向けに策定された国際的なセキュリティ基準です。
クレジットカード会員データを取り扱うEC事業者は、PCI DSSへの準拠が求められます。直接準拠する代わりに、PCI DSS準拠の決済代行会社のシステム経由で決済を扱う「カード情報の非保持化」が、日本国内のEC事業者にとっての標準的な対応になります。
PCI DSSは2024年3月にバージョン4.0が完全施行され、認証要件が強化されました(出典:PCI Security Standards Council)。
3Dセキュア(EMV 3-Dセキュア)への対応
3Dセキュアは、クレジットカードの不正利用を防ぐための本人認証サービスです。
経済産業省の方針として、2025年3月末までにECサイトでの3Dセキュア(EMV 3-Dセキュア/3Dセキュア2.0)の導入義務化が進められました(出典:経済産業省「クレジットカード・セキュリティガイドライン」)。
決済代行会社の多くがすでに3Dセキュア2.0に対応していますが、EC事業者側の設定・運用も必要なため、導入時に対応状況の確認が必要です。
改正割賦販売法への対応
2020年改正割賦販売法では、カード会員データの非保持化、PCI DSS準拠、不正利用対策の強化が義務化されました(出典:経済産業省)。
EC事業者は、自社サイトでカード情報を直接保持しないか、保持する場合はPCI DSS準拠が要件となります。
個人情報保護法への対応
2022年改正の個人情報保護法では、個人情報の漏えい等が発生した際の本人・委員会への報告義務、Cookie等の利用に関する同意取得などが定められています(出典:個人情報保護委員会)。
決済情報を含む個人情報を取り扱うEC事業者は、プライバシーポリシーの整備、漏えい時の対応フローの設計が必要です。
不正利用対策
EC領域では、クレジットカードの不正利用、なりすまし注文、転売目的のまとめ買いといった不正アクセスが継続的に発生しています。
決済代行会社が提供する不正検知システムを活用しつつ、自社側でも次の対策を組み合わせることが推奨されます。
-
3Dセキュア2.0の有効化
-
不正検知ツールの導入(注文金額・配送先・購入頻度等のルールベース検知)
-
海外IPからの注文制限(必要に応じて)
-
チャージバック発生時の対応フロー設計
オンライン決済導入で陥りがちな失敗パターン
オンライン決済の導入・運用でよく見られる失敗パターンを事前に押さえておくと、回避策が打てます。
失敗1:決済手段を絞りすぎてカゴ落ちが増える
クレジットカード決済のみで運用したものの、若年層やカード非保有層の購入が伸びず、購入直前の離脱が増えるケースです。
Baymard Instituteの調査(2025年)によれば、ECサイトの平均カゴ落ち率は70.19%。
主な原因として、予期せぬ追加コスト(送料・税金・手数料)48%、アカウント作成必須26%、配送が遅すぎる23%、サイトの信頼性への不安25%、購入手続きが複雑22%が挙げられています(出典:Baymard Institute 2024年調査)。
決済手段の不足も、購入手続きの離脱要因の1つになります。
対策:ターゲット顧客の決済習慣を踏まえ、最低限の決済手段(クレジットカード+コンビニ決済+QRコード決済1〜2社)からスタートし、購入動向を見ながら段階的に拡張します。
失敗2:決済手段を増やしすぎて運用負荷が膨らむ
逆に、全ての決済手段を一気に揃えた結果、入金管理・問い合わせ対応・チャージバック対応の運用負荷が膨らみ、運用が回らなくなるケースです。
対策:決済手段の追加には、必ず運用工数の試算とROI(追加で取れる売上 vs 増える運用負荷)の評価をセットで行います。
失敗3:表面的な料率だけで決済代行を選んでしまう
決済手数料の0.1%差を理由に決済代行を選んだものの、サポート品質・システム安定性・連携工数で逆に高コストになるケースです。
対策:料率だけでなく、月額利用料・トランザクション費用・初期費用・運用工数を含めたTCO(総保有コスト)で比較します。
失敗4:3Dセキュア・PCI DSS等のセキュリティ対応を後回しにする
セキュリティ対応を「あとで対応する」と先送りした結果、不正利用やチャージバックが発生してから慌てて対応するケースです。
対策:決済導入の初期段階で、3Dセキュア2.0、PCI DSS準拠、不正検知システムの組み込みをセットで進めます。
失敗5:入金サイクルを軽視してキャッシュフローが回らない
入金サイクルが想定より長く、月次の仕入れ・人件費の支払いが回らなくなるケースです。
対策:契約前に入金サイクル・最低入金額を確認し、月次の資金繰りを試算した上で決済代行を選定します。
失敗6:決済画面のUXを後回しにする
決済手段は揃えたものの、決済画面の入力項目が多すぎる・ステップが分断されている等の理由で離脱が増えるケースです。
Webサイトのページ表示速度が1秒遅れるとCVR(顧客転換率)が7%低下するというデータがあるほか(出典:Akamai)、表示に3秒以上かかると53%のモバイルユーザーが離脱するという調査結果も報告されています(出典:Google『The Need for Mobile Speed』)。
対策:決済画面はワンステップ化・入力項目の最小化を意識し、表示速度・モバイル最適化も並行して改善します。決済代行会社が提供する標準フォーム、もしくはEC構築サービスの標準決済画面の活用も検討します。
失敗7:海外顧客対応を見落とす
国内向けに決済を整備したものの、海外顧客からの注文に対応できず、越境ECの機会損失が発生するケースです。
対策:海外顧客比率の現状と目標を踏まえ、必要に応じて国際カードブランド対応、PayPal、多通貨決済等を組み合わせます。
まとめ
オンライン決済の整備は、購入機会の最大化と、運用負荷・セキュリティリスクの最適化を両立させる作業です。表面的な手数料率だけではなく、自社の事業フェーズ・顧客層・商材特性に応じた決済設計が、CVRと利益率の両方に効いてきます。
オンライン決済設計で押さえるべき5つの重要ポイント
-
主要6種類の決済手段の特性を理解する
クレジットカード、コンビニ、キャリア、QR、後払い、分割払い・BNPLの違いを押さえ、自社に必要な組み合わせを見極めます。 -
事業フェーズ・顧客層・商材特性で決済設計を決める
一律のベストプラクティスはありません。自社の特性に応じた組み合わせを設計します。 -
TCO(総保有コスト)で決済代行を比較する
料率だけでなく、月額利用料・トランザクション費用・運用工数を含めた総コストで判断します。 -
セキュリティ要件(PCI DSS、3Dセキュア2.0)を初期から組み込む
後回しにせず、導入初期からセキュリティ対応をセットで進めます。 -
段階的に決済手段を拡張する
立ち上げ初期は必要最小限の決済から始め、運用しながら購入動向を見て追加していきます。
最初の一歩を踏み出そう
オンライン決済は、選択肢を網羅しようとするほど判断が難しくなる領域です。まずは自社の「ターゲット顧客の決済習慣」と「Must要件としての決済手段」を言語化するところから始めてみてください。
ゴールが明確になれば、候補は自然と数社に絞り込まれ、判断の精度が一段上がります。
【無料相談】貴社のEC事業に最適な決済設計をShopifyの専門家がご支援 オンライン決済の選定・整備でお悩みの方へ。Shopifyの専門家が、貴社の事業フェーズ・顧客層・商材特性に応じた決済設計の方向性、決済代行サービスの比較、Shopify標準決済機能の活用方法までご相談を承ります。
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参考文献
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経済産業省『令和5年度/令和6年度 電子商取引に関する市場調査』
https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/statistics/outlook/ie_outlook.html -
経済産業省「2024年のキャッシュレス決済比率を算出しました」2025年3月
https://www.meti.go.jp/press/2025/03/20250331004/20250331004.html -
経済産業省「クレジットカード・セキュリティガイドライン」
https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/cashless/index.html -
Baymard Institute “Cart Abandonment Rate Statistics” 2025年
https://baymard.com/lists/cart-abandonment-rate -
Google『The Need for Mobile Speed』2018年
https://www.thinkwithgoogle.com/ -
PCI Security Standards Council(PCI DSS v4.0)
https://www.pcisecuritystandards.org/ -
個人情報保護委員会(改正個人情報保護法)
https://www.ppc.go.jp/ -
各オンライン決済サービス公式サイト(2026年5月時点)
※ 本記事内の決済手数料・各サービスの仕様は2026年5月時点の公開情報に基づきます。最新情報は各社公式サイトをご確認ください。




