消費者にとって手軽で便利なクレジットカード決済は、あらゆる小売業者にとって自然な選択肢です。街の小売店から世界各地に展開するチェーンまで広く導入されており、現在ではキャッシュレス決済のみを受け付ける店もあります。
しかし、事業者にとって悩ましいのは、クレジットカード決済のたびに手数料が発生することです。この手数料は販売者側が負担するため、1件あたりの金額はわずかでも、積み重なれば大きな負担になりかねません。特に、利益率の低い小規模事業者や、事業を軌道に乗せようとしている新規の小売業者にとっては、見過ごせないコストです。
この記事では、クレジットカード決済にかかるさまざまな手数料の種類を整理し、手数料を抑えるためのヒントを紹介します。
クレジットカード決済手数料とは
クレジットカード決済手数料とは、とは、事業者がクレジットカード決済を受け付ける際に、カード会社や決済代行会社などに支払う手数料のことです。顧客がクレジットカードで商品を購入するたびに、販売者はこの手数料を負担することになります。
経済産業省の調査によると、日本のクレジットカード加盟店手数料率は平均2.65%で、業種別の平均は1.9%から2.9%でした。ただし、実際の料率は、契約する決済事業者や事業規模、業種などによって異なります。
決済手数料を構成する3つの主要要素
1. インターチェンジ手数料(発行銀行の取り分)
インターチェンジ手数料は、カード決済手数料全体のなかで大きな割合を占め、加盟店と契約するカード会社からカード発行会社に支払われる手数料です。カードブランドやカードの種類、業種、決済方法などによって料率が異なります。
加盟店が実際に負担する決済手数料には、インターチェンジ手数料のほか、カードブランドに支払われる手数料や、加盟店契約会社・決済代行会社の手数料なども含まれます。そのため、対応するカードブランドを検討する際は、ブランドごとの違いだけでなく、契約する決済サービスの料金体系を比較することが大切です。
2. カードブランド手数料(国際ブランドの取り分)
カードブランド手数料は、決済ネットワークを提供するVisa、Mastercard、JCB、American Expressなどに支払われる手数料です。料率はカードブランドや取引条件などによって異なります。通常は、カード会社や決済代行会社が加盟店に請求する決済手数料に含まれており、加盟店がカードブランドに直接支払うものではありません。
3. 決済代行会社の手数料(決済代行会社の取り分)
決済代行会社の手数料は、クレジットカード決済の処理や管理を行う会社に支払う手数料です。
料金体系は決済代行会社によって異なり、取引金額に応じた手数料のほか、1件ごとの固定料金や月額料金が設定されている場合もあります。こうした手数料には、決済システムの提供、不正利用対策、カスタマーサポートなどのサービスにかかる費用が含まれます。
Shopifyペイメントを利用する場合は、契約プランやカードブランドなどに応じた決済手数料がかかりますが、外部決済サービスの利用時にShopifyから別途請求される外部サービス取引手数料はかかりません。
1万円のクレジットカード決済にかかる手数料の例
経済産業省の最近の調査によると、日本のクレジットカード加盟店手数料率は平均2.65%です。手数料率が2.65%の場合、1万円の決済にかかる手数料は265円となり、販売者の手元には9,735円が残ります。ただし、実際の手数料率は、契約する決済事業者や業種、事業規模などによって異なります。
- 手数料(2.65%):265円
- 手数料差引後の金額:9,735円
カードブランド別の手数料の特徴
クレジットカード決済では、店舗が支払う加盟店手数料に、インターチェンジフィーやカードブランドに関する手数料、決済事業者の手数料などが含まれています。
VisaとMastercardは、インターチェンジフィーの標準料率を公開しています。ただし、料率はカードの種類や業種、決済方法などによって細かく設定されているため、ブランドごとの手数料を単純に比較することはできません。
| カードブランド/ネットワーク | 主な公開情報 | 特徴 |
|---|---|---|
| Visa | インターチェンジフィーの標準料率を公開 | 実際の加盟店手数料は、契約する決済事業者や契約条件によって異なる |
| Mastercard | インターチェンジフィーの標準料率を公開 | Visaと同様、カードの種類や業種などによって料率が異なる |
| JCB | 加盟店手数料の配分率を公開 | 日本発の国際ブランドで、国内に幅広い加盟店網を持つ |
| American Express | 同じ形式の標準料率は公開されていない | JCBとの提携により、日本国内の加盟店網を広げている |
実際に店舗が負担する決済手数料は、これらの公開情報だけでは決まりません。導入時には、契約するカード会社や決済代行会社の料金体系を確認しましょう。
決済サービス別のクレジットカード決済手数料
決済手数料は、契約プランやカードブランド、決済方法などによって異なります。各サービスの主な料金と手数料率は以下のとおりです。料金は改定される場合があるため、最新情報は各社の公式サイトをご確認ください。
| 決済サービス | 月額料金 | 主な決済手数料 |
|---|---|---|
| Shopify ペイメント | Shopify ペイメント自体の月額料金はかかりません。Shopifyの利用料金は、年払いの場合、月額3,650円からです。 |
オンライン決済:国内発行のVisa、MastercardおよびJCBは3.25%〜3.55%、海外発行カードおよびAmerican Expressは3.80%〜3.90%。 料率は契約プランによって異なります。外部サービス取引手数料はかかりません。 |
| PayPal | アカウント開設費、初期費用、月額料金は無料です。 |
国内取引の標準料率:3.60%+40円。 海外取引:0.50%が加算されるため、日本円で受け取る場合は4.10%+40円。 |
| Square | 決済サービスの導入費用や月額固定費はかかりません。 |
対面決済:2.5%から。 オンライン決済:3.6%。 カード情報を手入力する非対面決済:3.75%。 対面決済の料率は、年間決済額やカードブランドなどの条件によって異なります。 |
| Stripe | 初期費用や月額料金はかかりません。 |
国内カードによるオンライン決済:3.6%。 通貨換算が必要な場合は、2%が加算されます。取引量や事業内容に応じたカスタム料金も用意されています。 |
Shopifyペイメント
Shopifyペイメントは、Shopifyのチェックアウトに組み込まれた決済サービスです。外部の決済サービスを別途契約することなく、クレジットカードやデビットカードによる支払いを受け付けられます。
Visa、Mastercard、JCB、American Expressに対応しているほか、Apple Pay、Google Pay、Shop Payなどの簡単なチェックアウトも利用できます。決済情報はShopifyの管理画面に集約されるため、取引や入金の確認、返金、チャージバックへの対応を1か所で行えます。
また、3Dセキュアや不正注文解析などのセキュリティ機能を利用でき、注文や顧客などのストアデータともシームレスに連携します。
料金体系:Shopify ペイメント自体の月額料金や初期費用はかかりません。Shopifyの各料金プランに含まれています。
決済手数料:
- 国内発行のVisa、Mastercard、JCB:3.25%~3.55%
- American Expressおよび海外発行カード:3.80%~3.90%
料率は契約プランによって異なります。Shopify ペイメントで処理される注文には、外部決済サービスの利用時にShopifyから請求される外部サービス取引手数料はかかりません。
通貨両替手数料: 支払い通貨とは異なる通貨で決済を受け付ける場合は、2%の通貨両替手数料が適用されます。
ヒント:上位のShopifyプランでは、より低い決済手数料率が設定されています。
PayPal
PayPalは、オンラインでの支払いを受け付けられる決済サービスです。顧客はPayPalアカウントに登録した銀行口座やクレジットカード、デビットカードを利用できるほか、PayPalアカウントを持っていない場合でも、カードなどで支払えることがあります。
オンラインチェックアウトに加え、請求書や決済リンク、定期支払いなどにも対応しています。複数の決済手段をPayPalでまとめて管理できるため、入金状況や取引履歴の確認も容易になります。
料金体系:アカウント開設費、初期費用、月額料金はかかりません。支払いを受け取った場合にのみ手数料が発生します。
決済手数料:
- 国内取引:3.60%+40円
- 海外取引:国内取引の手数料に0.50%を加算
追加費用:
- チャージバック手数料:対象となる取引について1件あたり1,300円
- 通貨換算手数料:支払いまたは返金の受け取り時は、基本為替レートに4%を上乗せ。受け取った残高などを別の通貨に換算する場合は3%を上乗せ
Square
Squareは、対面、オンライン、非対面での決済に対応する決済サービスです。クレジットカードやデビットカードに加え、対面決済では電子マネーやQRコード決済も受け付けられます。決済端末、POSレジ、オンラインストア、請求書、決済リンクなどを利用でき、売上や取引履歴をSquareの管理画面でまとめて管理できます。
売上金は、通常は振込手数料無料で登録口座へ自動で振り込まれます。
料金体系:アカウントの作成や決済サービスの利用に、初期費用や月額固定費はかかりません。ただし、決済端末の購入費や、一部の有料機能には別途費用がかかります。
決済手数料:
- 対面決済:2.5%から
- オンライン決済:3.6%
- カード情報を手入力する非対面決済:3.75%
- 請求書決済:3.25%
対面決済の2.5%は、年間キャッシュレス決済額が3,000万円未満であることなど、所定の条件を満たす事業者が主要カードブランドの決済を受け付ける場合に適用されます。その他の対面決済には3.25%以上、年間決済額が3,000万円以上の場合は個別の料金が適用されることがあります。
追加費用:通常の振込手数料、アカウント管理費用、払い戻し手数料はかかりません。
Stripe
Stripeは、オンライン決済を中心に、さまざまな決済機能を提供するプラットフォームです。Stripe Terminalを利用すれば、実店舗での対面決済にも対応できます。
クレジットカードやデビットカード、デジタルウォレット、コンビニ決済、銀行振込などの決済手段に対応しています。料金は取引ごとに発生する従量課金制です。取引量が多い企業や特殊なビジネスモデルには、カスタム料金も用意されています。
料金体系:初期費用や月額料金はかかりません。
決済手数料:
- 国内カードによるオンライン決済:決済成立1件あたり3.6%
- Stripe Terminalによる対面決済:決済成立1件あたり3.24%
- 通貨換算が必要な場合:2%を加算
追加費用:
- Tap to Pay(タッチ決済) :1件あたり18円
- 不審請求の申し立て受領手数料:1件あたり1,500円
- Stripe Terminalを利用する場合は、決済端末の購入費が別途必要
決済手数料の料金モデル
一律料金方式
一律料金方式では、決済ごとにあらかじめ定められた料率が適用されます。インターチェンジフィーやカードブランドの手数料、決済代行会社の手数料などをまとめた料率を支払う仕組みです。
取引ごとの手数料を計算しやすく、料金体系もシンプルです。 そのため、Shopify ペイメントのようなオールインワン型の決済サービスや、中小規模の事業者向けの決済サービスで広く採用されています。
インターチェンジ・プラス方式
インターチェンジ・プラス方式では、取引ごとに発生するインターチェンジフィーに、決済代行会社の手数料を上乗せします。手数料の内訳が明確で、実際のコストに応じた料金が適用される仕組みです。
インターチェンジフィーは、カードの種類や決済方法などによって異なります。そのため、取引量の多い事業者は、一律料金方式よりも決済コストを抑えられる可能性があります。一方で、取引ごとに手数料が変わるため、料金の計算や管理が複雑になる場合があります。
その他の決済手数料
公表されている決済手数料のほかにも、決済サービスによっては追加費用が発生する場合があります。導入前に料金表や契約条件を確認し、決済にかかる総コストを把握しておきましょう。
収益に影響する可能性がある主な費用には、次のようなものがあります。
- 早期解約手数料:契約期間の途中でサービスを解約すると、手数料が発生する場合があります。
- 海外取引手数料・通貨換算手数料:海外で発行されたカードによる決済や、売上通貨の換算が必要な場合に追加される手数料です。海外販売を予定している場合は、適用条件や料率を確認しておきましょう。
- 返金に伴う費用:返金時に手数料が発生したり、元の取引で支払った決済手数料が返還されなかったりする場合があります。
追加費用は利益や資金計画に影響するため、決済サービスを選ぶ際は、基本の決済手数料だけでなく、解約や海外取引、返金などにかかる費用も比較することが大切です。 Shopifyペイメントのように、料金体系が明確で、ストアと決済をまとめて管理できるサービスがおすすめです。
決済明細書の読み方と実効レートの計算方法
クレジットカード決済にかかる手数料は、積み重なると利益を圧迫する可能性があります。料金が適正かを確認するには、実際の売上に対してどの程度の手数料を支払っているかを示す「実効レート」を計算してみましょう。
毎月の利用明細や管理画面で、次の金額を確認します。
- 決済手数料の合計
- カード決済による売上の合計
実効レートは、次の式で計算できます。
実効レート(%)= 決済手数料の合計 ÷ カード売上の合計 × 100
たとえば、カード売上が500万円、決済手数料が15万円だった場合、実効レートは3%です。
15万円 ÷ 500万円 × 100 = 3%
実効レートは、契約プランや決済方法、カードの発行国、通貨換算の有無などによって異なります。公表されている基本料率だけでなく、月額料金や追加手数料も含めて計算し、複数のサービスを比較することが大切です。
決済代行会社との連携
クレジットカード決済には、カード会社との接続や売上金の入金、返金、不審請求への対応など、さまざまな業務が伴います。こうした決済業務をまとめて担うのが、決済代行会社です。
決済代行会社は、事業者と顧客、カード会社や金融機関の間に入り、決済処理や売上金の入金を支援します。複数の決済手段を一つのサービスで導入でき、取引情報をまとめて管理できる点もメリットです。
利用料金や提供機能はサービスによって異なるため、決済手数料だけでなく、入金サイクル、対応する決済方法、追加費用、管理のしやすさなども確認して選びましょう。
クレジットカード決済手数料を抑える4つの戦略
1. 自社に合った料金体系を選ぶ
決済サービスを選ぶ際は、月間の決済額や平均取引単価、利用する決済方法などを踏まえて料金体系を比較しましょう。
一律料金方式は、手数料を計算しやすく、決済コストを予測しやすい点がメリットです。一方、インターチェンジ・プラス方式は料金の内訳が明確で、取引量の多い事業者であれば、決済コストを抑えられる可能性があります。
まずは現在の実効レートを計算し、月額料金や振込手数料なども含めた総コストを比較してみましょう。取引量が多い場合は、個別料金や取引量に応じた割引が利用できないか、決済代行会社に問い合わせるのもおすすめです。
2. チャージバックを最小限に抑える
顧客がカード利用に異議を申し立てると、売上金が取り消され、チャージバック手数料が発生する場合があります。
チャージバックを最小限に抑える方法には、次のようなものがあります。
- 不審な注文を確認する:商品を発送する前に不正解析の結果を確認し、リスクが高い注文は、注文情報や顧客情報に不審な点がないか慎重に確認しましょう。
- わかりやすい請求明細書名を使う:顧客がカードの利用明細を見て購入先を認識できるよう、店舗名やブランド名が伝わる名称を設定しましょう。
- 配送を記録する:追跡サービスや配達確認を利用し、注文情報、配送記録、顧客とのやり取りなどを保管しておきましょう。
- 迅速に対応する:チャージバックが発生したら、管理画面に表示される提出期限を確認し、注文情報や配送記録などの証拠を期限内に提出しましょう。
ヒント:Shopify ペイメントに代わりに対応してもらいましょう。Shopify ペイメントを通じて処理された注文については、Shopifyが自動的に注文の証拠を収集し、期日に提出します。必要に応じて、管理画面から追加の書類を加えることも可能です。
3. 決済代行会社と料金を交渉する
決済代行会社によっては、取引量や事業規模に応じて、決済手数料などを個別に設定している場合があります。現在の手数料が高いと感じる場合は、より低い料率を適用できないか相談してみましょう。
ヒント:決済代行会社を選ぶ際は、決済手数料だけでなく、初期費用、月額料金、振込手数料、端末費用なども確認しましょう。複数の会社から見積もりを取り、総コストを比較するのがおすすめです。
4. 低コストの決済手段を取り入れる
決済手数料は、クレジットカード、銀行振込、コンビニ決済、スマホ決済など、決済手段によって異なります。顧客のニーズを踏まえながら、手数料の低い決済手段も用意することで、決済コストを抑えられる可能性があります。
決済手段を選ぶ際は、手数料だけでなく、利用者の多さや入金サイクル、運用の手間なども含めて比較しましょう。
クレジットカード決済手数料に関するよくある質問
クレジットカード決済に関して、事業者が注意すべきセキュリティ基準は?
クレジットカード情報を取り扱う事業者は、カード会員データを保護するための国際的なセキュリティ基準であるPCI DSSに準拠する必要があります。具体的な対応範囲は、カード情報の保存や処理方法、利用する決済サービスなどによって異なります。
クレジットカード決済にはさまざまな料金体系がありますか?
はい。決済代行会社によって、採用している料金体系は異なります。主なものに、一律の料率が適用される一律料金方式と、インターチェンジフィーに決済代行会社の手数料を上乗せするインターチェンジ・プラス方式があります。
また、同じ決済サービスでも、契約プランやカードブランドなどによって料率が異なる場合があります。基本の決済手数料だけでなく、月額料金や追加費用も含めて比較しましょう。
決済方法はクレジットカード決済手数料にどう影響しますか?
決済サービスによっては、オンライン決済と対面決済で異なる料率が適用されます。カード情報を手動で入力する場合や、海外で発行されたカードを受け付ける場合などに、追加手数料が発生することもあります。詳しい条件は、利用する決済サービスの料金表で確認しましょう。
手数料の高い決済代行会社を使うことのリスクは?
決済手数料が高いと、取引のたびに利益が圧迫されます。特に利益率の低い商品を扱う場合や取引量が多い場合は、わずかな料率の違いでも負担が大きくなる可能性があります。料率だけでなく、月額料金や振込手数料なども含めた総コストを確認することが大切です。
クレジットカード決済手数料を顧客に請求してもいいですか?
原則として、クレジットカード決済手数料を顧客に上乗せして請求することはできません。多くのカード会社や決済代行会社の加盟店規約では、決済手数料を顧客に負担させることが禁止されています。事前に明示していても認められるとは限らないため、利用しているサービスの契約条件を確認しましょう。




