ウェブサイトのトップページで再生される動画や、商品ページの商品紹介動画は、テキストや画像だけでは伝えきれない情報やイメージを短時間で届けられます。そのため、ECサイトや企業のホームページなどで重要な役割を果たします。
しかし、適切なファイル形式を選ばないと、読み込みに時間がかかる、特定のブラウザで再生できない、スマートフォンでは問題ないのにパソコンでは画質が粗いなどの問題が発生してしまいます。そのため、画質、読み込み速度、用途によって、動画ファイル形式を選ぶ必要があります。
この記事では、代表的な動画ファイル形式の種類やおすすめの活用シーン、選び方を解説します。自社サイトやSNSで動画を活用したい企業は参考にしてください。

動画ファイル形式の重要性
適切な動画ファイル形式を選ぶことは、サイトに動画を掲載する際に特に重要で、サイトスピードや顧客体験に直結します。もし、再生環境に合わない動画を載せてしまうと、サイトの表示が遅くなったり、動画が再生されなかったりします。結果として、ユーザーはサイトを離れ、販売機会の損失や直帰率の上昇につながります。また、サイトの表示速度は検索順位の評価要素でもあるため、SEO(検索エンジン最適化)にも影響します。
読み込み速度を優先するものや解像度を優先するものなど、動画ファイル形式にはそれぞれ特徴があります。動画を掲載するサイトや用途、ターゲットオーディエンスがよく利用するデバイスなどに合わせて選ぶことが大切です。
動画ファイル形式の種類
MP4
MP4は、ほぼすべてのブラウザとデバイスで再生可能で、容量を過度に増やさずに鮮明な画質を保てる動画ファイル形式です。自社サイトへのアップロード、SNSへの投稿、メールへの埋め込みまで、オンラインで動画を配信する場面のほとんどをカバーできます。
- メリット:どの環境でも再生できて画質も良く、複数の媒体で使い回せる
- デメリット:WebMなどの新しい形式と比べると容量が大きい
- おすすめの用途:商品紹介、トップページのバナー動画、メール配信用の動画など、顧客にすぐに見てほしいコンテンツ
AVI
AVIはMicrosoft(マイクロソフト)が開発した動画ファイル形式で、Windows以外の環境でも幅広く使われています。高画質を維持できる一方で、圧縮率が低いためファイルサイズは大きくなります。ストリーミング再生には対応していないため、サイトへの掲載には向いていません。
- メリット:高画質を維持できる
- デメリット:容量が大きく、ストリーミング再生に対応していない
- おすすめの用途:Windows環境での動画編集、編集前の素材保存
WMV
WMVはWindows Media Player(ウインドウズメディアプレイヤー)向けに開発された形式で、容量が小さい点が特徴です。第三者による複製などを制限するデジタル著作権管理(DRM)に対応していますが、多くのブラウザやモバイル端末で追加の再生ツールを必要とします。
- メリット:容量が小さく、古いWindows環境でも再生できる
- デメリット:最新の環境では扱いにくく、画質や機能面で見劣りする
- おすすめの用途:過去に作成したWMV動画の保管や、他の形式への移行作業
MOV
MOVは容量が大きい代わりに、鮮明な映像を保存できる動画ファイル形式です。Apple(アップル)が自社のQuickTime(クイックタイム)の一部として開発したもので、最新のWindows(ウインドウズ)でも再生できますが、環境によってQuickTime Playerなどの追加ソフトが必要な場合があります。
- メリット:映像と音声が高品質で、プロ向け編集ソフトとの相性が良い
- デメリット:容量を消費する、Apple製品以外では再生に追加ソフトが必要な場合がある
- おすすめの用途:あとから編集や変換を行う前提の高画質な素材、Macでの編集
WebM
WebMは、容量の小ささが特長です。ファイルサイズが小さいため、サイトの表示速度を落とさず、通信量も抑えられます。最新のブラウザであれば概ね対応していますが、古いバージョンのSafari(サファリ)などでは再生できません。高画質な形式と比べると鮮明さでは劣りますが、背景動画や短いループ再生には適しています。
- メリット:容量が小さくて読み込み速度が速く、通信料も抑えられる
- デメリット:古いブラウザでは再生できない場合がある
- おすすめの用途:背景動画、トップページの動きのある演出、モバイル優先の設計
MKV
MKVは、1つのファイルに映像、複数言語の音声、字幕をまとめて格納できる形式です。そのため、多言語対応が必要な場合や、複数の音声と字幕を1回のダウンロードで提供したい場合に役立ちます。ただし、ほとんどのブラウザでは外部プラグインや専用プレイヤーなしでは再生できないため、サイト掲載には向いていません。
- メリット:多言語コンテンツや字幕などの付加情報を扱いやすい
- デメリット:多くのブラウザで再生できず、ECサイトへの掲載には不向き
- おすすめの用途:複数言語の字幕に対応した動画
FLV
FLVはAdobe Flash Player(アドビフラッシュプレイヤー)向けに開発された形式です。ストリーミング再生に対応し、回線が低速でも再生可能である点が特長でしたが、2020年にFlash Playerのサポートが終了し、iOSでは当初から対応していないこともあり、現在はあまり利用されていません。
- メリット:インターネット回線が低速でも多くのOSやブラウザで再生できた
- デメリット:現在はほとんど利用されていない
- おすすめの用途:過去に制作したFLV動画の確認
MPEG-2
MPEG-2は、DVDやブルーレイ、地上デジタル放送などで使われてきた形式です。展示会や店頭で流す映像をDVDで配布する場合など、物理メディアで動画を再生する際に用いられることが多いです。
- メリット:DVDやブルーレイ、放送機器との互換性が高い
- デメリット:圧縮率が低く容量が大きい
- おすすめの用途:DVDの制作、店頭やイベント会場での上映用データ
AVCHD
AVCHDはパナソニックとソニーが共同開発した、デジタルビデオカメラ向けの動画ファイル形式です。圧縮率が高く、ハイビジョン映像を長時間記録できます。
- メリット:長時間のハイビジョン映像をDVDなどのメディアに記録できる
- デメリット:AVCHD対応のプレイヤーでないと再生できない
- おすすめの用途:ビデオカメラで撮影した素材の保管

活用シーン別の動画ファイル形式のおすすめと選び方
自社サイトへの埋め込み
自社サイトへ動画を掲載する場合は、多くのブラウザとデバイスで再生できて、画質と容量のバランスがいいMP4が最適です。サイトスピードに影響が出ないよう、ファイルサイズが大きくなりすぎないように注意してください。
SNSへの投稿
SNSに投稿する動画は、Instagram(インスタグラム)やFacebook(フェイスブック)など多くのSNSに対応しているMP4かMOVがおすすめです。スマホで撮影した動画は自動的にMP4やMOV形式で保存されるので、そのまま投稿できます。動画編集ソフトで編集する場合は、動画を書き出す際にMP4またはMOVを指定することで、スムーズに投稿できます。
YouTubeへの投稿
YouTube(ユーチューブ)は多くの動画ファイル形式に対応していますが、公式に推奨されているのはMP4です。WMV、AVI、MOV、FLVなどでアップロードすると画質が低下する場合があります。
社内での編集や保存
基本的には汎用性が高く扱いやすいMP4がおすすめですが、Adobe Premiere(アドビプレミア)やFinal Cut Pro(ファイナルカットプロ)など主要な編集ソフトはさまざまなファイル形式に対応しています。使うソフトが動画素材の形式に対応しているならそのまま編集して、書き出す際はMP4にしておくとよいでしょう。
DVDの制作
DVD書き込み時に選ぶ動画ファイル形式はMPEG-2がおすすめです。ハイビジョン映像などを記録できるAVCHD形式で書き込むこともできますが、AVCHD形式対応のプレイヤーが必要になります。

動画ファイル形式を変換する方法
動画ファイル形式を変換するには、変換ソフトを使います。代表的なものは以下の通りです。
- Adobe Express(アドビエクスプレス):無料のオンラインソフトで、さまざまな動画ファイルをMP4に変換可能
- Canva動画変換・MP4変換サイト:ブラウザ上で無料で利用でき、MOVやWebMなどさまざまな形式をMP4に変換できる
- QuickTime Player:macOSに標準搭載されていて、動画ファイルをMOVとして書き出せる
- 動画変換:Windows用ソフトで、複数ファイルを一括で変換できる
手順はいずれのツールでも共通しています。変換したいファイルを読み込み、出力形式を指定し、書き出しを実行します。ただし、形式の変換を繰り返すと、そのたびに画質が劣化します。編集前の元データは必ず保管し、変換は必要な回数にとどめましょう。
まとめ
多くの企業に最適な動画ファイル形式はMP4です。読み込みが速く、画質も良好で、多くのブラウザやデバイスで再生できます。そのため、ウェブサイトへの掲載から動画マーケティングまで、さまざまな場面で利用できます。
もちろん、用途によっては他の形式が選択肢になる場面もあります。トップページの背景動画にはWebM、動画の編集や保存にはMOVやAVI、DVDにはMPEG-2が向いています。
動画ファイル形式に迷ったら、この記事を参考に用途に合った最適な形式を選びましょう。
動画ファイル形式に関するよくある質問
動画ファイルの拡張子とは?
動画ファイルの拡張子とは、動画ファイル名の末尾に付く、ファイル形式を示す文字列です。「.mp4」「.mov」などがあります。
動画ファイル形式のおすすめは?
基本的にはMP4がおすすめです。ほとんどのブラウザやデバイスで問題なく動作し、容量を抑えながら高い画質を保てます。自社サイトへの掲載、SNSや動画サイトへの投稿など幅広い場面で利用できます。
MOVをMP4に変換すると画質は落ちる?
変換時に品質設定を高くし、フレームレートと解像度を維持した設定にすれば、画質は大きくは落ちません。ただし再エンコードを繰り返すと、そのたびに画質は少しずつ低下します。
動画ファイル形式を無料で変換するには?
Adobe ExpressやCanva動画変換・MP4変換サイトなどを利用すれば、さまざまな動画ファイルを無料でMP4へ変換できます。
スマホでも動画ファイル形式を変換できる?
Adobe ExpressやCanva動画変換・MP4変換サイトはスマホでも利用可能です。




