成功を収めた女性起業家の話題が取り上げられることが増え、起業家としてのキャリアをスタートさせる女性も増えています。2025年度新規開業実態調査によると、開業者のうち女性の割合は、調査開始から4年連続で最高水準を更新し、25.7%に達しました。また、東京商工リサーチの調査でも、女性社長は過去最多の68万4,669人にのぼり、前年比で5.4%も増加しています。
日本で女性起業家が増えている背景には、経済産業省による女性起業家等支援、企業や大学による女性活躍に向けたサポート体制の充実が挙げられます。さらに、初期費用をかけずに事業を開始できる0円起業を行い、アントレプレナーとして成功を収めている例も少なくありません。
この記事では、日本の女性起業家の成功者を紹介しています。ビジネスの内容や成功の秘訣についても触れていますので、自社ビジネスや新規事業の参考にしてください。
成功を収めた日本の女性起業家9人
- 米良はるか氏:クラウドファンディングサービス「READY FOR(レディーフォー)」
- 蜂谷詠子氏:女性専用ワーキングスペース&コミュニティ「株式会社ブルーコンパス」
- 福田恵里氏:女性向けウェブスクール「SHE(シー)株式会社」
- 岩崎由夏氏:転職支援サービス「株式会社YOUTRUST(ユートラスト)」
- 橋本真里子氏:クラウド型受付サービス「株式会社RECEPTIONIST(レセプショニスト)」
- 角田千佳氏:ご近所マッチングサービス「株式会社エニタイムズ」
- 坂梨亜里咲氏:女性の健康支援サービス「mederi(メデリ)株式会社」
- 田村雅美氏:エピテーゼ専用サロン「エピテみやび株式会社」
- 森川春菜氏:インフラ点検にロボットやAIを活用する「オングリットホールディングス株式会社」
米良はるか氏:クラウドファンディングサービス「READY FOR(レディーフォー)」
米良はるか氏は、日本初のクラウドファンディングサービス「READY FOR(レディーフォー)」を立ち上げた女性起業家です。起業当時大学生だったこと、日本で初めてのクラウドファンディングだったこと、さらに世界規模で経済問題に取り組むダボス会議に日本人最年少で参加したこともあり、先進的な女性起業家の成功者として高い知名度があります。「人生100年時代構想会議」や「未来投資会議」等の民間議員に選出されており、現在は内閣官房「新しい資本主義実現会議」の民間議員も務めるなど活躍の場を広げています。
READYFOR株式会社は2025年4月現在、192名の従業員を抱える企業に成長しており、ビジネスオーナーとしても手腕を発揮しています。メルカリなど経営者として成功している人を積極的に登用したこともビジネスを急成長させた理由の一つと言えます。
蜂谷詠子氏:女性専用ワーキングスペース&コミュニティ「株式会社ブルーコンパス」
蜂谷詠子氏は、女性専用コワーキングスペース&コミュニティの「株式会社ブルーコンパス」の代表取締役です。システムエンジニアとしての経験を活かし、2013年に女性起業家のためのウェブコンテンツ制作を行う株式会社BEEVALLEYを設立、その後、2018年には「株式会社ブルーコンパス」を立ち上げています。
また、蜂谷詠子氏は出産をきっかけに独立し、自身と同じように在宅ワークやスモールビジネスを行う女性へのサポートを行っています。ブルーコンパスでは学習塾を導入し、母が働く場と子供が学ぶ場を併設することで、子育て中の女性が対峙する仕事と育児の両立が実現しやすい環境を作りました。働く女性が抱えるニーズを捉え、ビジネスチャンスに変える起業家マインドも持ち合わせており、新規事業立ち上げに挑戦する女性のロールモデルとなっています。
福田恵里氏:女性向けウェブスクール「SHE(シー)株式会社」
初心者女性向けのウェブスクールを立ち上げ、学生起業した「SHE(シー)株式会社」の福田恵里氏は、デザインやウェブの知識を気軽に学べる環境がないことに疑問を抱き、起業に踏み切りました。「美術大学を出ていない」「女性には難しいだろう」という固定概念により挑戦を諦めてしまう女性を応援すべく、スクール運営から実績形成、キャリア支援、人材マッチング事業なども行っています。
大学卒業後はリクルート社に就職し、組織作りやマネジメント、採用の仕組みなどを学び、そこで得た知見を参考に、現在の円滑な会社運営に活かしています。さらに、妊娠や出産といった女性が直面するライフイベントとキャリア形成の視点から、柔軟に適応できるスキルや経験の習得を軸に事業を展開しています。福田氏自身も代表就任後に産休に入り、キャリアと出産・育児の両立をアピールしたことで注目を集めました。
主要事業「SHE likes(シーライクス)」の開始後は、コワーキングスペースから通学型スクール、さらにサブスクリプション型オンラインスクールへと、利用者の需要に合わせて柔軟に舵取りを行ったことが成功の秘訣と言えるでしょう。
岩崎由夏氏:転職支援サービス「株式会社YOUTRUST(ユートラスト)」
「YOUTRUST(ユートラスト)」創業者の岩崎由夏氏は、採用担当としての経験から抱いた違和感をきっかけに事業を開始しました。一般的な転職サイトとは異なり、プラットフォームを通して同僚や友人などのつながりを可視化できるだけでなく、人脈を広げることも可能です。さらに、今すぐ転職は考えていない層へのアプローチもできることから、競合他社との差別化に成功しています。
新たな転職支援サービスを開発するにあたり、独学でプログラミングを学び、プロトタイプまで完成させるほどの行動力を備えています。現在は社員合宿などを通じて部門を超えた社内コミュニケーションの円滑化を図り、その結果として、より良いサービスの提供へとつなげています。
「時価総額15兆円の会社をつくる」という明確な目標を掲げていることも、成功へと前進し続ける原動力の一つであると言えるでしょう。
橋本真里子氏:クラウド型受付サービス「株式会社RECEPTIONIST(レセプショニスト)」
「株式会社RECEPTIONIST(レセプショニスト)」を立ち上げた橋本真里子氏は、企業受付としての経験を生かし、受付業務の効率化のためのクラウド型受付システムや日程調整サービスを提供しています。会社設立からわずか7年目で約5000社が導入するほどの急成長をとげ、女性活躍を推進する企業や活躍している個人を賞する「WOMAN’s VALUE AWARD」で個人賞を受賞しています。
11年におよぶ企業受付の経験から、現場の無駄を省くことに成功しています。また、資金調達においては、受付時代に培った人脈を活用しています。エンジェル投資家から資金調達の方法や資本政策といったノウハウを教えてもらうことで知識をつけ、さらに投資家の紹介を受けることで知識とネットワークの両面を強化し、事業を成功へと導いています。
角田千佳氏:ご近所マッチングサービス「株式会社エニタイムズ」
ご近所マッチングサービス「株式会社エニタイムズ」創業者の角田千佳氏は、大手証券会社やIT広告業界での勤務を経て事業を立ち上げた女性起業家です。日々苦しそうに仕事をしている人々に疑問を抱き、働くことをよりポジティブに捉えられるような事業を目指して起業しました。家の掃除や家具の組み立て、ペットの散歩などちょっとした用事を個人間で依頼したり請け負ったりできるアプリを開発し、空いた時間や好きな時に気軽に働ける仕組みづくりに成功しています。
システム開発の知識がなかったため、立ち上げから2年間は試行錯誤を繰り返し、3年目にはプロダクトを作り直すという大きな決断を行っています。さらに、既存株主や知人の紹介といったつながりにより、資金調達も実現しています。
坂梨亜里咲氏:女性の健康支援サービス「mederi(メデリ)株式会社」
坂梨亜里咲氏は、女性向けメディアの代表や運営を経験したのちに、女性向けの健康支援サービスを提供する「mederi(メデリ)株式会社」を立ち上げています。オンラインピル診療サービスの「mederi Pill(メデリピル)」をはじめ、生理の悩みを相談できる「mederi生理相談室」やオンライン美肌診療サービス「mederi Skin(メデリスキン)」など、多彩なサービスを展開しています。
子会社の代表を務めた経験から創業時の経営不安も少なく、自身の7年間にわたる不妊治療の経験を活かせる妊娠・出産に関するヘルスケア分野での起業を決意しました。当初は妊活向けサプリメントや検査キットの販売を行っていたものの、思うような結果が出ず、市場ニーズを再考し、オンラインピル診療へと事業転換を行ったことで大きな成功を収めています。
田村雅美氏:エピテーゼ専用サロン「エピテみやび株式会社」
エピテーゼ専用サロン「エピテみやび株式会社」を立ち上げたのは田村雅美氏です。エピテーゼとは、体の一部を本物のように再現する人工パーツのことで、病気や事故、生まれつきなどにより体の欠損や変形を補う役割を果たします。エピテーゼを日本に普及させるために制作・販売事業を立ち上げ、2018年には起業を目指す女性向け支援プログラム「女性起業チャレンジ制度」でグランプリを受賞しています。
歯科技工士として働いていた田村氏ですが、技術力向上のために渡米した際、エピテーゼによる外見回復の技術を知り、以後エピテーゼ事業に取り組むようになります。個人事業主としてスタートした事業を法人化をし、現在は、エピテーゼの認知度を高める活動を行っています。一般社団法人日本エピテーゼ協会も立ち上げ、エピテーゼの技術を教えるスクール運営活動も行っています。ハンドメイド業界のフェスに参加したり、個展を開催したりと、認知度拡大のための活動を増やしていることも成功の一因と言えるでしょう。ファッションや美容としてのエピテーゼを定着させることを目標の一つとして掲げており、海外進出も視野に入れるなど、今後のビジョンが明確です。
森川春菜氏:インフラ点検にロボットやAIを活用する「オングリットホールディングス株式会社」
森川春菜氏が立ち上げた「オングリットホールディングス株式会社」は、構造物点検事業やAI・ロボット研究開発事業、アウトソーシング事業を行う企業です。第20回「女性起業家大賞」ではスタートアップ部門の奨励賞に、「デル女性起業家ビジネスコンテスト2023」では2位に入賞するなどの実績があります。
シングルマザーが子育てをしながら働ける環境の不足を危惧したことと、ゼネコンの人材不足問題を知ったことがきっかけとなり、両者をマッチングする事業を考案しました。「CADは専門家が扱うもの」という既成概念にとらわれず、初心者でも図面作成ができる独自システムを開発しました。シングルマザーだけでなく、日本語が堪能でない留学生にもシステムを活用してもらい、幅広い雇用創出を実現しています。
まとめ
成功を収めた日本の女性起業家は、自身の経歴を活かして起業するだけでなく、日常の出来事や経験からインスピレーションを受けて起業することが少なくありません。自身が起業するとは想像もしていなかったという人の起業例も多く、起業家精神さえあれば、誰もが起業にチャレンジできることを示しています。
どの女性起業家も多くの起業家が直面する課題に対峙するものですが、諦めずに継続し、時には大きな方向転換を行うことで成功を収めたケースもあります。女性ならではの悩みをビジネスチャンスに変えた例も多く、自身の苦悩や葛藤を分析すれば、それを解決に導くサービスや事業アイデアへと昇華させることも可能でしょう。
日本における女性起業家の比率は増加の一途を辿っており、今後も増えていくことが予想されます。自治体や公的機関、一般企業による支援プログラムの活用も検討し、ビジネスの成長や事業拡大を目指しましょう。
日本の女性起業家に関するよくある質問
日本の女性起業家に多い職種は?
日本の女性起業家に多い職種は以下の通りです。
- ライティングやウェブデザイナーなどのネットビジネス
- オンライン講座やセミナー
- ハンドメイド作品販売
- 飲食店経営
日本の女性起業家の割合は?
日本の女性起業家の割合は、25.7%(2025年度新規開業実態調査)です。
日本の女性起業家が増えている理由は?
経済産業省による女性起業家等支援や、企業・大学による女性活躍のためのサポートが増えていることが女性起業家増加の一因と考えられます。さらに、インターネット等を活用して初期費用を抑えながら起業する方法を活用している人も少なくありません。
文:Masumi Murakami





